3パットが激減! ピッタリ距離感の作り方<後編>キーワードは「90ビート」と「3つの振り幅」
PHOTO/Hiroyuki Okazawa
THANKS/美浦ゴルフ倶楽部(GRAND PGM)、ジャパンゴルフスクール
パッティングの距離感を作るうえで、始動から1秒以内にインパクトすることが大事だと石井忍コーチ。後編では、一定のテンポでストロークするための練習方法、そして練習グリーンで実際に距離感を作る際のポイントを教わろう。
解説/石井忍
いしいしのぶ。多くの選手を指導するプロコーチ。ショートゲームのレッスンには定評がある。ゴルフスクール・エースゴルフクラブ主宰
ストロークのテンポは
90ビートがおすすめ
GD 距離感を磨くには、常にバックスウィングからインパクトまでの時間を1秒以内にするということでした。でも、ストロークの時間って、自分では計りにくいですよね?
石井 練習するときには、メトロノームを使って、90ビートくらいのテンポに合わせてストロークするといいですよ。写真のように、90ビートの「カチ・カチ」とか「ピッ・ピッ」という音に合わせてストロークすれば、自然に1秒以内にインパクトできますから。
GD メトロノームを持っていない人でも、今はスマホのアプリを無料でダウンロードできるから便利ですね。
石井 この一定のビート=テンポでストロークすることも、距離感を安定させるポイントです。常に、行き(バックスウィング)と帰り(ダウンスウィング)のスピードを一定にして、同じテンポで打つことで、初めて振り幅どおりの距離が打ち分けられるんです。
GD ストロークの時間を一定にするのと同じ理屈ですね。
石井 そのとおり。行きが速くて帰りが遅かったり、行きが遅くて帰りが速かったりすると、距離感が不安定になってしまうので注意してください。あとは、ストロークのアークがゆがんでいると、一定の時間、テンポで打ちにくいので、スウィングプレーンどおりにストロークすることも大切です。
GD 具体的には、どうしたらいいんですか?
石井 スウィングプレーンどおりに打てる練習器具を使うか、誰かにラインと平行に棒を持ってもらい、その棒に沿ってストロークするといいんじゃないでしょうか。
一定のテンポでストロークする
感覚を磨こう
プレーン通りに
ストロークできているかも重要
写真は、プレーンどおりに振る感覚を身につける練習器具『パッティングボード』(エンジョイゴルフ&スポーツジャパン)
3つの振り幅で
転がる距離をチェック
さて、ここからが距離感作りの本番ですが、一定のテンポと時間でストロークできるようになったら、3つの振り幅でストロークして、どのくらい転がるのかをチェックします。
GD 3つの振り幅?
石井 小・中・大、3つの振り幅です。小の目安は6インチ。親指と人差し指を広げたくらいの振り幅です。中は、バックスウィングでヘッドが右足の外側に上がるくらいの振り幅。大は、両ひざと腰を固定して、90 ビートで打てる最大の振り幅です。
GD どのくらいの振り幅で打てば、どれくらい転がるのかをチェックするんですね。
石井 そういうことです。その距離がわかれば、それより短く打ちたいときは振り幅を小さくし、長く打ちたいときは振り幅を大きくすればいいのです。
GD 基準となる距離がわかっていれば、振り幅を調節するだけで、思った距離が打てるというわけですね。
石井 ええ。常に90ビート、1秒以内のストロークができていれば、振り幅で距離を調整するのは楽なはずですよ。この3つの振り幅のチェックは、ラウンド前に必ず行うようにします。そうすることで、その日のグリーンの速さにも対応しやすくなるし、その経験を積み重ねていくことで、自分のなかに本物の距離感が生まれてきますからね。
小・中・大の3つの振り幅で何m転がるかチェック
練習グリーンに行ったら、なるべく平らなラインを見つけ、小・中・大、3つの振り幅でどれくらい転がるのかをチェックしてみよう。この3つの距離さえわかってしまえば、あとは振り幅を少し調整するだけで、さまざまな距離に対応できるはずだ
上りと下りの距離感も
スタート前に作っておこう
GD 距離感で難しいのは、上りや下りの調整だと思うのですが、そのあたりはどうすればよいのでしょう?
石井 スタートしてから調整するのは難しいので、これも朝の練習グリーンで済ませておきます。平らなラインと同じように、上り、下りも3つの振り幅で打って、どれくらい転がるかチェックしておくんです。ただ、大の振り幅だとグリーンを出てしまうケースもあるので、その場合は、小と中の振り幅をじっくりチェックしておくとよいでしょう。
GD 上り、下りの基準も作っておくわけですね。
石井 ええ。余裕がある人は、振り幅を微調整したときに、どのくらい距離が変わるのかをテストしておくといいですね。『振り幅をこのくらい小さく(大きく)すると何m変わる』ということがわかれば、より確実にカップに寄せられると思いますよ。
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月10日号より