【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.284「解説のやりがい」
奥田靖己「ゴルフはつづくよどこまでも」
PHOTO/Tadashi Anezaki
>>前回のお話はこちら
- PHOTO/Tadashi Anezaki >>前回のお話はこちら ここのところずっと、アプローチの延長にショットがあるんですよ、クラブの使い方としては同じでいいんですよ、だから100ヤード以内の練習をすればロングショットも安定してきます、と言ってきました。 でも相変わらず練習はドライバーがほとんどで、アプローチは最後にちょこっとやるかやらないかい……
最近は、テレビやネットの解説の仕事をやらせてもらうこともあるんですが、僕としては“絵に描いた餅”みたいな作りもんの解説はしたくないので、今、いろいろ勉強しているところです。
絵に描いた餅みたいな解説とは、たとえば、池越えの240ヤードのセカンドショットで、アゲンスト、ちょっとライが悪いいう状況のときに、「これはちょっとリスクがありますから、池の手前に刻むんが賢明ですね」とか「自分の得意な距離を残しましたね」とかいった、わかり切ったことを口にすることです。
これをプロゴルファーが解説しとるんやから驚きます。
もっとすごいんは、「刻んできましたね」って、そんなん見ればわかるやろいうことをわざわざ
“解説”しとる。僕やったらそういう言い方はしないです。
「これは刻んで確実にパーで上がるというより、こっちのほうがバーディ取れるかもわかれへんですね。なぜなら風やライが……」と、こういう状況でも池越えにチャレンジしてきたのにはどういう意図があるのかいう話はそこでしたいですね。
240ヤードのアゲンストを簡単に越えられると思ってやってるのか、追い込まれて嫌々やっているのか、そういうんは仕草でわかりますからね。そういうプレーヤーの心境を言わないとあかんと思うています。
かといって、あんまり細かく説明しすぎてもね、これまたちょっと違う話で、「そんなに難しいことやってんのか」みたいなことになるからね、普通に打っているだけやのに。
たとえば右奥のピンに対して右のラフから打つとしたら、ドロー打ちの人でもピンを見ないでピンの左にパッと目が行きますよね。
考えて考えてしているんやなしに、感覚的な部分でパッとそちらを見てしまう。そういう部分を言えたらええなあと思いますね。
言葉というんは、すごく難しいです。一言で神髄がボンと突けたらいいんやけど、やっぱり要らんことのほうをよう言うてますわ。
今僕がすごく葛藤してるんは、言ってはダメなことを言ってしまいそうで、それが怖い。「これでもプロか」とか言ってしまいそうでね。そんなんで自分らしさを出してもしゃあないですからね。気をつけなあきません。

「自分らしく、しかし余計なことを言いすぎない。なかなか難しいですわ」

奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2026年8月4日号より


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