【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.914「知識や技術はいくらあっても荷物にはなりません」
岡本綾子「ゴルフの、ほんとう。」
米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
TEXT/M.Matsumoto
>>前回のお話はこちら
- 米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。 TEXT/M.Matsumoto >>前回のお話はこちら 試合の練習場で思ったのは、プロはウェッジでのショットでなぜあれほど高さを抑えて打つのかということです。アマチュアはロフトが大きく……
上達するには当然、できることが増えていく必要があります。 と同時に、要らないものをそぎ落とすことも重要かと思います。 岡本さんにとって足していくもの、捨てていくものとはどのようなものでしょうか? (匿名希望・50歳・HC11)
年齢を重ねると家の中に雑多なモノが増えていることが気になり、どうしたらさっぱり処分できるかと頭を悩ませることがあります。
断捨離という言葉がありますが、上手く整理できたら人生全般もすっきりと晴れ渡るかもしれませんね(笑)。
断捨離しようにも何が不要でどれが余計なものかも自分では決められず、整理を始めたと思ってもなかなか進まないのも現実。
やればスカッとするのは分かっているけど、できないのが正直なところではないでしょうか。
ではゴルフではどうでしょう。
初めてクラブを手にした時から今まで繰り返し練習をして上達をしようと努力してきたはずです。
練習をしてきたものの、なかなか習得できず回り道をしたり、ひょっとして間違ったまま身に付けた動きもあったかもしれませんが、体を動かすことで技術を刷り込んでいくことが練習というものです。
わたしは、そこにウソはないと思っています。その意味において、練習に取り組んだ技術に無駄なものはないのではないでしょうか。
練習を続けていると、昨日までできなかったことが今日からはできる。そういう瞬間を迎えます。それ以降”できること”が一つ増えたということです。
コースでは今まで経験したことのない状況が待ち構え、同じシチュエーションは一度としてないとも言われます。
だから無駄に思える技術でもいつか役に立つことがあるかもしれません。上達するには「できることを増やし要らないものを削る」と考えることに、わたしは疑問を感じます。
技術の引き出しの容量は想像以上に大きく、技術のバラエティはほぼ無限に豊かにできるはずであり、逆にそぎ落とさねばならないほど技術を持っているものでしょうか?
そこでわたしは、足し算思考をおススメします。余分なものをそぎ落とそうと考えると、ともするとネガティブ思考に陥りやすいものです。
それならゴルファーは常に、足して足して進んでいけばいいのです。大事なのは、今まで自分にはなかった要素を付け加え、プラスしていくことです。
脇目も振らずに前へ進んでいけば、余計なものや無駄な部分は自然に抜け落ちていく。
その一方、一見要らないように見えたものもスウィングの中では味のある動きを構成する要素かもしれません。
どんな名手、伝説のプレーヤーのゴルフにだってひょっとして余計なものがあったのではないか、そんなふうにも思えます。
まったく無駄のない人生なんて面白くもありませんよ。ひょっとして欠点だと思っていることも、ほんとうに要らないものかどうかは神さまでもなければ分からない。
余計だと決めつけるのは危険すぎるというものです。モノコトに対する執着から解放されたい気持ちは分からなくはありませんが、断捨離を誤ったとらえ方をしないことはとても大切だと思います。
だから上手く断捨離できないのかもしれませんけどね(笑)。

「欠点も見方を変えればポジティブ要素になると思います」(PHOTO by Ayako Okamoto)
週刊ゴルフダイジェスト2026年7月7日号より


レッスン
ギア
プロ・トーナメント
コース・プレー
書籍・コミック




















