Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • コラム
  • 【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.913「ギアの進化に伴い、技術のアップデートも要求されているのです」

【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.913「ギアの進化に伴い、技術のアップデートも要求されているのです」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


試合の練習場で思ったのは、プロはウェッジでのショットでなぜあれほど高さを抑えて打つのかということです。アマチュアはロフトが大きくなるほど球も上がりますが、プロはそうはならないのはどうしてなのでしょうか。(匿名希望・47歳・HC11)


ゴルフクラブにはロフトという角度がつけられています。

打球の飛距離と弾道はこのロフト角とクラブの長さで決まると言っていいでしょう。

そのため短いシャフトで大きなロフトを備えているウェッジは、常に高い弾道で目標をピンポイントに狙うクラブと思われるかもしれません。

しかしプロはウェッジであえて高さを抑えたショットを打つことがあるのはなぜか。


プロがウェッジで低い球筋を打っていたということですが、例えば強風下で少しでも打球が高く上がって風の影響を受けることを避けたい場合は、ウェッジで低く打ち出すことは必要になる打ち方だと思います。

今はアマチュアの方でもウェッジを4本入れていることが少なくありません。

ゴルフの進化は14本のクラブセッティングにも及んでいるということでしょう。

最初は可能な限り遠くまで飛ばすクラブと、できるだけ目標の近くまで正確に寄せるクラブという区分けで始まったウッドとアイアンの機能分化は、時代とともに各クラブの分業化が進行し、ウェッジの役割も細分化されているのが実情です。

その理由のひとつに、コースが選手に要求する条件が増えたことも挙げられます。

ライの状態はもちろん、バンカーや池など障害物を含めたホールロケーションやグリーンエッジからカップまでの距離、傾斜、速さ、硬さといったグリーンの条件に加えて、風の強さと向きなど総合的に判断してピンを攻める。

そのためのボール位置やヘッドの入射角の調節、インパクトからフォローまでヘッドをどう振り抜くか、距離感は……プロの攻略法はそんなふうに作り上げられています。

特に重要なのはボールのスピン量です。プロは微妙な調節によってスピンコントロールしているのです。

練習を積み重ねることでスピンコントロールを身に付けるわけですが、微妙な感覚は各人独特のもので、その技術は簡単に共有することはできません。

またプロとアマとではこの練習量に圧倒的な差があり比べものにはなりません。多くの人は「プロみたいにバックスピンで止めたい!」と思っているかもしれませんが、逆にプロはスピンを抑える技術を持っていると言ってもいいかもしれません。

確かに近年はクラブやボールなどのギアの革新的な進化により、アマチュアの方でもスピンを入れやすくなってきました。

最近では高速で硬く締まったグリーンでもまったく手に負えないことは少なくなってきたかもしれません。 そのためピン位置を以前より厳しくすることなどの調整が行われています。

ゴルフはギアの進化に伴い、プレーヤーに対する要求は高くなってきているということです。 スピンが利きやすくなった、高い球が打ちやすいということは、逆に抑える技術も必要になってきたということなのです。

そのなかでどうすれば理想のショットを打つことができるか。 プロは常に努力を重ねているということだと思います。

低く打ち出してスピンが利いて止まる球を打っている選手を見かけたら、練習に精を出しているということではないでしょうか。

「対応・順応していくために一番大切なことは日々の練習です」 (PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2026年6月日30号より