【ゴルフせんとや生まれけむ】すず風金魚<前編>「参考にしていたのは岡本綾子プロ!」
ゴルフせんとや生まれけむ
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、お笑い芸人のすず風金魚氏。
私の師匠は東八郎なんですよ。「東八郎」といっても今の若い人はピンとこないかもしれませんが、東先生といえばコメディアンとして日本の喜劇界の歴史に偉大な足跡を残した大先生。「東MAX(アズマックス)」こと東貴博さんのお父さんといったらわかってもらえるかしら。そんな東先生に芸人としてのさまざまな作法やしきたりを教えてもらいました。私にとって生涯の恩人です。
私がゴルフを始めるようになったのも東先生のおかげでした。先生はゴルフが大好きで、忙しい仕事の合間を縫ってちょくちょくプレーしていました。先生がゴルフに行く時、私はいつも運転手。ゴルフ場に着くと、先生のプレーが終わるのを駐車場の車の中でずっと待っているのが常でした。
すると、ある時、先生が「何もしないで待っているのも退屈だろ? トランクの中にアイアンが入っているから練習場でそれでも打ってろ」と言うんです。7番アイアンだったか9番アイアンだったか忘れましたけど「はい!」と返事をして、言われるままに誰にも教わることなく打っていましたよ。
当然のことながら最初は全然当たらないから少しも面白くなかったです。みんな、何でこんなことのために早起きして行くんだろうって不思議に思っていました。ところが、ほかに時間をつぶすことがないから仕方なくやっているうちに自己流ながらもだんだん球に当たるようになって、ゴルフの面白さが少しずつわかってきたんです。
興味を持ち始めて真剣に取り組むようになってから参考にしたのは岡本綾子プロ。彼女の華麗なスウィングが大好きで「打ち方はこれだ!」と思ってひたすらマネしていましたね。もちろん彼女みたいには打てなかったけど、イメージは岡本綾子。自分では「岡本小綾子」だと言っていました(笑)。
初ラウンドは先生の奥さんがやっていたお店のコンペでした。常連のお客さんと従業員の女の子の親睦を図ることが目的のコンペだったんですけど、何と私が優勝しちゃった(笑)。女性はハンディがたくさんもらえたんですが、それがものの見事にハマったんです。いきなり優勝とはほかの参加者は驚いていたけど、一番ビックリしたのは自分でした。先生には「バカ野郎! お前、ちょっとは遠慮しろ。身内が勝ってどうすんの」って怒られちゃったけど(笑)、プロでもデビューしていきなり優勝した人ってそうそういない。私にしては華々しすぎるデビュー戦でした。
先生は52歳で突然倒れて亡くなられたんですけど、実は亡くなる2日前の最後のゴルフもご一緒させていただいたんです。先生とは何度回っても一度も勝てなかったのに、その日の午前中、先生はいつになく調子が悪くて53も叩いちゃった。それに対して私は52。午後はいつもの先生に戻ったのでトータルでは当然負けです。でも、ハーフだけだったけど、先生に勝てたことは私にとっていい思い出になっていますし、昼食を取りながら先生が「お前ごときに負けるとはなあ」と悔しそうに何度も口にしていたことを、今でも昨日のことのようによく覚えていますね。

すず風 金魚
北海道恵庭市出身。心酔していた東八郎に師事した後、漫才コンビ「すず風にゃん子・金魚」を結成しボケを担当。得意はゴリラのモノマネ。自称「やっとハタチ」。ベストスコア86
週刊ゴルフダイジェスト2026年6月9日号より


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