【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.909「緊張や興奮することこそゴルフの醍醐味です」
岡本綾子「ゴルフの、ほんとう。」
米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
TEXT/M.Matsumoto
>>前回のお話はこちら
- 米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。 TEXT/M.Matsumoto >>前回のお話はこちら 先日ニュースで知ったのですが、新南愛知CCでは毎年4月にレジェンドの大会が開催されているそうですが、どのような試合なのか……
いつもは冷静なつもりでいる自分ですが、初めて出場する大会など普段とは違う雰囲気になると緊張するというか、やや興奮気味な自分を感じます。 そんなとき、どのように落ち着かせればいいのか教えてください。 (匿名希望・44歳)
勝敗を分ける正念場、緊張の一瞬。 手に汗をかき喉はカラカラ口から飛び出しそうな心臓はドクンドクンと打っている……。
スポーツだけでなく受験や入社試験など人生に影響するようなテストに臨む場合にも人は似たような心理状態になると思います。
でも、そこまで緊迫してはいないとしても、普段とは違う機会に接して心中穏やかに構えていられなくなることはありますよね。
そんなとき、どうやって自分の心を落ち着かせればいいのかしらって、わたしのほうが教えてもらいたいくらいです(笑)。
ありきたりですが、緊張する条件が積み上がっていって心拍数が上がってきたと感じたら、深呼吸をして空を見上げてみるとか、そのくらいの対応策しか思い浮かびません。
トーナメント中継の解説席に座って好きなことを話して、イベントに出席すればマイクの前でにこやかに挨拶をする。
たまにテレビの対談番組に出演したときには、軽妙に話をして相手を笑わせている……もしかしてみなさんはわたしのことをそんなふうに見ているのかもしれませんが、事実はとんでもありません。
人前に出て言葉を発するということを、わたしは昔から一番の苦手にしていて、そんな役回りからはできることなら一生逃げて回りたいと思っています。
わたしは子どものころから人前で喋るのがとても苦手でイヤでした。 どうしてと聞かれても理由をきちんと答えられるわけもなく性分としか言えません。
強いていえば、自分の声にコンプレックスを持っていることが原因ですかね!?
わたしにとって心拍数が極限まで上昇するのは、大勢の人前に立って話をしなくてはならないシチュエーションに限られるかもしれません。
ビッグトーナメントでの大ピンチとか、決定的な勝負の分かれ目など、誰もが手に汗握る局面でも心臓が飛び出そうになることはなかったですね。
マイクを使った挨拶のほうが緊張しますし、マイクを持たされ舞台に立たされると何を喋っているのかわからなくなる。
どうしても自分が話さないといけないことが事前に分かっているときは、カラオケルームでマイクを使って何度も練習したこともあります。
でも本番では緊張して慣れることはありませんでした……。
いつもテレビ解説でちゃんと話していると思われるかもしれませんが、解説席と人前でマイクを握るのとでは事情がまったく違うんです。
アナウンサーの方は緊張しないで喋れるのは確かです。
わたしは人前で喋るのには慣れないけれど、大きな大会や大事な試合、優勝争いの場面での心構えということでいえば、やはり何度も経験を積んでいくことで少しずつ場慣れしていくことだと思います。
浮き足立ってしまうのは、想定外の出来事に際して準備ができていなかったときだと思います。
ですから、緊張したり興奮したりするシチュエーションをあらかじめ想定して、その場でのルーティンを用意しておくと対処しやすいかもしれませんね。
コースマネジメントも同じですが、対策をして経験値を重ねていくしかないのかもしれません。
ただ、ヒリヒリする試合の緊張感と対峙して、心臓がドキドキ高鳴るのはゴルフやスポーツの醍醐味だと思います。
そんな興奮を実感できるのは、あなたがゴルフと真剣に向き合っているからこそなので、むしろその緊張や興奮を喜んでもいいのではないでしょうか。
わたしはいまでもできることなら「あの緊張感をもう一度味わいたい!」と思い出すことがあります。 余談ですが、わたし小学生のころ「大きくなったら学校の先生になりたい」なんて夢見たこともありましたが、今振り返るとならなくてよかったな〜と思います。
先生になったものなら毎日必ず人前で喋らなきゃならなかったはずですもんね(笑)。

「何度もお伝えしますが、わたし、人前で話すことは苦手なんです(笑)」( PHOTO by AYAKO OKAMOTO)
週刊ゴルフダイジェスト2026年6月2日号より


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