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【小祝さくら ゴルフときどきタン塩】Vol.84「ゴルフができることは“当たり前”ではないんだなって」

国内女子ツアーを牽引する女子プロのひとり、小祝さくら。ほんわかした雰囲気を持ちつつも、プロ2年目の2019年以降着実に優勝を重ね、すでにツアー通算10勝以上を誇る実力者。そんな小祝の素顔や、ほっこりとした日常を追っていく――。

ILLUST/オギリマサホ

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小祝さくらは今、ゴルフができる幸せをかみしめている。

左手首のケガで手術し、長期間の離脱となってしまった時期、最初は想像以上にゴルフをしたいとは思わなかったそうだ。

「早くクラブを握りたいとか、練習をしたらダメと言われても練習に行っちゃうとか、ゴルフがない生活に耐えられるかなと思っていたんですけど、意外にも1カ月くらいはやりたいと思わなくて……こんなにゴルフをしなくても違和感がないんだという感じでした」

しかし、長年心身に染み付いたプロゴルファーの“性”が顔を出す。

「2カ月後くらいに突然、ゴルフをしたいなと思い始めたんです。今は、ゴルフできていることが、すごく幸せだなと、“そもそも論”になっています。ゴルフができることって当たり前ではないんだなと思って。今まで当たり前にやってきたんですけど、ケガしたりゴルフから離れて特にそういうことを思いました。だから、試合でミスなんかが出ても、今はまず、ゴルフができていることだけでも、いいことなんだなと思うようにしています」


こうして臨んだ久しぶりの試合、今年のツアー開幕戦、ダイキンオーキッドレディス。試合前のインタビューでは、「間に合うのか微妙だったので、間に合ってよかったなと思いますし、でも油断はできないので再発しないようにしっかりケアや、いろいろと様子を見ながらやっていきたいなという感じです。練習では5オーバーぐらいのときもあったので、距離感はまだ元には戻っていなくて……100ヤードぐらいの距離なども曖昧なので、実際どれぐらいかなと思いながら打っています。不安はありますけど、あまり考えすぎず、気持ちを楽にしてプレーしたいなと思っています」

こういったさくらの“無欲”が、眠っていた距離感を引き出し、大会2日目のホールインワンを生んだ。13番パー3、160ヤード(実測値147ヤード)を7番アイアンで打ち、ツーバウンドでカップイン。

小祝さくらは、やはり“持っている”プロゴルファーなのだ。

スポーツ観戦が大好きなさくら。今年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックは、ハワイで練習に励んでいたため見られなかった。

「ショート動画で見たくらい。フィギュア男子で8位だったアメリカの子(イリア・マリニン)の“後転(バックフリップ)“がすごいなあと思いました。(大ファンである)平野歩夢選手も、今回はしっかり見られていないんですよ。でも、腰をケガしていたんですよね。いやもうすごいです……『生きててよかった』って、そういう感じですもんね。尊敬できます」

自身もある意味“生きててよかった”という思いの小祝さくら。ここからまた、すごみが増しそうだ。

ホールインワンの賞金50万円で沖縄名物のステーキを食べるさくら。「ホテルの近くの有名なお店に行きました。美味しかったです!」。ゴルフと美味しいものを探して食べる日々が続いていく

こいわい・さくら。1998年北海道生まれ。ニトリ所属。8歳でゴルフを始め、17年のプロテストで合格。19年初優勝、20-21年は5勝を挙げ最後まで賞金女王を争う。22年2勝、23年1勝、24年2勝、25年も1勝を挙げ、ツアー通算12勝。「久しぶりの試合、やっぱり楽しいです」

週刊ゴルフダイジェスト2026年3月31日号より