【キミこそ王子だ】Vol.335「スウィングは考えない。楽しむことだけ」北海道から香川の高校に進学した日本ジュニアチャンプ
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は北海道出身で現在は四国学院大学香川西高等学校2年の西山陽斗くん。全国でナンバーワンになった彼のモットーは「ゴルフをとにかく楽しむ!」。その姿に武市も思わず笑顔に。
今回の王子候補
西山 陽斗くん
にしやま・はると ●主な戦歴/2024 日本ジュニアゴルフ選手権 15~17歳の部 優勝 ●ベストスコア/63(高松CC城山C)) ●練習/毎日200~300球 ●トレーニング/部活でほぼ毎日7キロランニングと体幹トレーニング
8月に行われた「日本ジュニアゴルフ選手権」で優勝した西山陽斗くん。ゴルフを始めたのは小1のとき。高校入学とともに故郷の北海道を離れ香川県へ。現在、ゴルフ部のエースとして活躍している。
「なぜ北海道から香川へ?」
「同郷の先輩に声を掛けてもらいました。北海道は雪で半年ラウンドできませんが、香川はゴルフ環境がよく最高です」
彼の言葉は、3年連続で「日本ジュニア」を四国勢が制していることもあり信憑性がある。
この日は、バイト先のゴルフ場で仕事後にコースで打ってもらったのだが、その球に武市は仰天!
「本当に仕上がっているね〜。どんなこと考えて打っているの?」
「何も考えてません。チェックポイントもありません。とにかく楽しむ! それだけです」。
確かにフェアウェイを歩く彼の姿は悠々としている。
6月に男子ツアー「セガサミーカップ」に出場して予選こそ通らなかったが「プロの試合でも、ここまでできるんだ」と自信になったそうだ。
ドライバーの飛距離は270〜280ヤード。ただ、彼のゴルフにはパワーだけではなく独特の上手さがある。
武市は「陽斗くんは左利きで、そのことがかなり武器になっている」という。
「一番の注目は左ひじ。右利きの人は、インパクトからフォローにかけて左ひじが下を向きやすい。そうすると自然とリストが返しやすくなるからフェースローテーションが多めのスウィングになる。一方、陽斗くんは左利きで左サイドリードでスウィングをするタイプだから左ひじがあまり下を向かず、体と一緒に目標方向に回転していくから、フェースローテーションを抑えて打ちやすい。結果、方向性もいいけど、彼はいろんな球が打てるんだよね。そこに上手さを感じる。きっと、ライや状況に応じ球へのコンタクトを左ひじの向きでコントロールしているのだろうと思うくらい左手や左腕の感覚が優れている」
「そこまで意識していませんが、アプローチやバンカーも割と得意です」
「実はボクも基本は左利きだから、感覚はすごく理解できる。でも、陽斗くんみたいに下半身がドッシ
リしていないから、いまひとつしなやかさが出ないんだよね〜」
実は、彼が通う香川西高校は学校から練習場までの約7キロを走って行くのが伝統だ。「その鍛錬のおかげで粘り強い下半身ができている。パワーを出しつつ、多彩な球を打てるのはそういった理由かな?」と武市。
冬、北海道に帰るとゴルフのことは考えず、スノーボードに興じるという陽斗くん。
「ゴルフのときはゴルフ、スノボーのときはスノボーを思い切り楽しみます。それがボク的にはプラ
スになっている気がします」
「気分転換って重要だよね。これからも、いい意味で深く考えすぎず楽しんでゴルフしてね!」
香川でダイヤの原石を発見し、ご満悦の武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2024年10月15日号より