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2024日本女子アマ覇者・鳥居さくらさん<前編>あるプロとの出会いで、飛んで曲がらないドライバーを手に入れた

世界アマチュアランク上位者や昨年の大会覇者、ナショナルチームの選手など、並み居る強豪を抑えて“女子アマ日本一”の称号を勝ち取ったのはダークホース的な存在だった高校3年生。スランプを乗り越えてビッグタイトルを手にした彼女の今後が楽しみだ。

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/六甲国際GC

鳥居さくら とりい・さくら。2007年兵庫県生まれ。滝川第二高等学校3年。21年関西中学校ゴルフ選手権優勝。23年関西女子アマ2位、日本ジュニア3位。163センチ。ベストスコア64

>>中学時代の鳥居さんのスウィングはこちら!

ドライバーが真っすぐ
飛ぶからこそ攻められた

近年の女子ゴルフ界はプロもアマもレベルが上がってきていて、今年の日本女子アマもプロ並みの選手が何人も出場していた。そんな群雄割拠のなかで大金星を挙げたのが、今まで日本タイトルとは無縁だった鳥居さくらさんだ。

「試合前は優勝するとは全然思っていなくて、今年はプロテストを受けるからその前に自分の実力を試すというような感じで順位の目標もなかったんです」と言うが、4日間60台で回り、2位に5打差をつける快勝だった。

好プレーの要因のひとつにキャディを務めてくれた友人の存在があった。

「私は猪突猛進の感覚派だけど彼女は冷静な判断ができる頭脳派で、私の足りない部分を補ってくれました。4日間で3回バーディを取った6番パー5でも彼女のアドバイスで2オン狙いの“攻め”と3打目勝負の“守り”を使い分けて攻略できました。だから2人で勝ち取った優勝なんです」

「キャディをしてくれた友達が“攻めすぎ”を抑えてくれました」
競技を通じて仲良くなった友人の鈴木姫琉さんがキャディを買って出てくれた。自分だけだったらピンチでも無謀に攻めてしまうところを、冷静なマネジメントで守ることの必要性を教えてくれた

「イノシシ年だから猪突猛進なんです」

両親ともにイノシシ年で「イノシシ一家なんです。みんな前しか向きません(笑)」


とはいえ過去の経験から自分に合うマネジメントは把握している。

「私は、守って失敗したら後悔して引きずってしまいそうなのが嫌。攻めた結果のミスなら許せるんです。だから今後も基本は攻めるけど、“イチかバチか”はやめてちゃんと“守り”も取り入れながらやっていきたいです」

もうひとつの大きな勝因がスランプだったドライバーが真っすぐ飛ぶようになったこと。昨年まであまりにも曲がるためドライバーを持ってもハーフスウィングで打ったりしていたという。

「左右どっちにも曲がるから、怖くて振れなくなっていました。今年から星野英正プロに教えてもらうようになってそれまでわからなかった曲がる原因を見抜いてもらえて、女子アマのときは不安なく振れるようになったんです。狭いホールでもしっかり振り切れて、しかも飛距離も出てビックリしました。ショットの不安がなくなって、難しいコースをゲーム感覚で戦略を立てながら楽しくプレーできたのが良かったと思います」

日本アマを3回制覇している星野が女子アマ優勝を後押しした。3日目が終わってからプレッシャーを感じたが星野と話したら落ち着いて、最終日は吹っ切れた

飛んで曲がらないドライバーの秘密

Point1
キックボクシングで体幹強化

体幹を鍛えるために始めたというキックボクシング。足を高く蹴り上げてもバランスが崩れない

Point 2
いつでもしっかり振り切る

怖くて振れない時期があったからこそ、狭いホールでもフィニッシュまで振り切ることを大切にしている

鳥居さくらさんの1Wスウィング
ドライバー飛距離:260Y

小学生の頃は自分より飛ぶ子がいるともっと飛ばしたいと躍起になっていた。重いクラブで素振りをして“飛ばし力”を磨いてきた

>>後編はこちら

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より