【浦ゼミナール】Vol.52「アイアンはまずライ角、次にシャフト、そしてバランスです」
身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。アイアンはモデル選びよりまず、ライ角やバランスをそろえることが優先だと浦さんは言う。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー
浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・池上で√d golf academyを主宰
ライ角がズレていたら
狙ったところに飛ばない
――前回まではドライバーの話をお聞きしましたが、今回はアイアンについて教えてください。自分に合ったアイアンを選ぶには、何が大事なのでしょうか。
浦 アイアンはまずライ角。これが大前提ですね。ギア好きの方は「ライ角は大事」って話を聞いたことくらいはあると思いますが、みんなないがしろにしすぎです。プロやトップアマで、ライ角を合わせずにアイアンを使っている人はほぼ皆無です。
――ライ角が合っていないとどうなるんですか?
浦 アップライトすぎたら球がつかまりすぎるし、フラットすぎたらつかまらない。狙ったところに球が飛びません。上級者が軟鉄鍛造アイアンを好むのは、打感もありますがライ角調整ができるから。ピンなどはステンレスヘッドでもライ角を選べますが、いずれにしても、買ったアイアンのライ角を確認も調整もせずに使うなんてことはやめましょう。
――浦さんも、自分のライ角は何番アイアンで何度というのが決まっているんですか?
浦 だいたいは決まっていますが、厳密に何度という数値はありません。長さやヘッドの特性によって適正なライ角は変わりますからね。つかまりのいいアイアンならフラットめにすることもあるし、逆も然りです。
――構えたときにトウの下にコインが1~2枚入るくらいが適正なんて言いますね。
浦 1つの目安にはなります。でも、そこを基準に実際に球を打って弾道をチェックすることが大事。ソールにシールを貼って球を打ち、接地した跡を見るフィッティングなどもありますが、ソールの真ん中がキレイに接地していても、狙ったところに飛ばないんでは意味がない。実際に打って真っすぐ飛ぶライ角にしておくことが基本中の基本です。このとき、シューズや人工芝のマットの高さなどには気を付けてください。スニーカーとソフトスパイクでは高さが違いますし、足元とボール位置のマットの高さに差があったりしたらそのぶんズレます。高さが数ミリズレれば、ライ角も1度くらいは変わってしまいますからね。
――なるほど。
浦 ここから、持ち球などに応じてアレンジすることもあります。右に出してドローを打ちたければ1度くらいアップライトに、左に出してフェードさせたければフラットにするとか。でもいまどきのアイアンは「真っすぐ」ベースにしておいたほうが無難だとは思います。
ライ角は球のつかまりを左右する大事な要因で、アイアンでは最重要スペック。目安はあるものの、実際に打って球が真っすぐ飛ぶライ角であることが大事。フィッティングして適正ライ角であることが自分に合ったアイアンの絶対条件だ
買ってから調整することもできるが、事前にライ角違いで試打できる場合もある
クラブの総重量よりも
バランスをそろえよう
――ライ角の次に大事なのは?
浦 シャフトでしょうか。アイアンのシャフトはドライバーよりも重要だと思います。
――シャフト選びはどうすればいいですか?
浦 厳密にフィッティングするならいろいろありますが、基本的には「振り心地」をベースに考えていいと思います。流行りやネットの評判にとらわれず、自分が気持ちよく振れて、タイミングが取りやすいシャフトであることが肝心です。そして意外に重要なのがバランス(スウィングウェイト)です。総重量よりもずっと大事なスペックだと私は考えています。
――D2とかC9とかのアレですね。
浦 私も最近まで、バランスなんてあまり気にしなくていいだろうと甘く見ていたんですが、バランス調整していないアイアンを打ったら思いのほか球がバラついたので、やっぱり大事なんだなと認識を改めました。
――D1でそろえるべきとか、そういう指針はあるんですか?
浦 全番手がちゃんとそろっていればいいので細かい数値は気にしなくていいと思いますが、軽いよりはちょっと重めくらいのほうがいい。各番手を測ってみて、重いものを基準にほかをそこにそろえる感じでいいと思います。
――バランスってそんなにバラついているものなんですか?
浦 あまり大きな声では言えませんが、量販店で買ったアイアンを全部測ってみると、みなさん結構驚くと思いますよ。バランス計なんて、練習場やスクールなどに置いてあることも多いですし、ゴルフショップに頼めば多分タダで測らせてくれると思いますから、一度くらいは測ってみることをおすすめします。
アイアンはバランス超大事。一度くらいは測ってください
バランス計は練習場などに置いてあることもある。ショップに頼めば測るだけなら無料でやってくれるかも
――調整はどうやるんですか?
浦 バックフェースに鉛を貼ればいいんです。貼った分だけバランスが重くなりますから、重くするのはカンタン。重いほうにそろえたほうがいい理由の1つでもあります。総重量とバランス、さらにクラブの重心までピッタリそろえるのは難しいですが、バランスだけならカンタンで、一番効果もあります。
――モデル選びはどうでしょう?
浦 これらが整ったうえで、使いたいアイアンを使ってください(笑)。ヘッドの性能差なんかより、こっちのほうがずっと重要です。
バランスを軽くするのは大変だが、重くするのはカンタン。バックフェースに鉛を貼ればいい。バランス計に乗せながら貼る量を微調整し、全番手が同じバランスにそろうようにする。スチールシャフトはとくに、バランスを少し重めにしておくとシャフトのしなり戻りがスムーズになる。重心距離が極力変わらないよう、ヘッドの真ん中に貼ろう
月刊ゴルフダイジェスト2024年7月号より