【大人ゴルフの歩き方】Vol.38　ゴルフをショーアップせよ!

木村和久「キムラ式大人ゴルフの歩き方」

2024.03.31

KEYWORD トーナメント観戦木村和久

スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。

ILLUST／Shinichi Hoshi

【大人ゴルフの歩き方】Vol.37　練習は裏切りましぇ～ん!

前回のお話はこちら

第38講　ゴルフをショーアップせよ!

①ゴルフは「やるか」「見るか」それが問題だ
②ゴルフの試合は盛り上がってるの?

ゴルフ観戦の醍醐味は何か?

ゴルフトーナメントを見に行ったり、テレビ中継を見るファンの多くは、自らプレーをしている人が多いです。これがスケート、野球、サッカー、ラグビー、相撲、柔道などは、学校の授業を受けたり、サークルでたしなんだ程度で、現役プレー率はかなり低いです。つまりゴルフ以外のスポーツは体験をしていなくても、そこそこ観戦を楽しめるってことです。

特にサッカーや野球はスタジアムが熱気のルツボ。試合を利用して、真っ先に自分らが盛り上がってますからね。けれどゴルフの試合は打つときに、「お静かに」のボードが掲げられ、わりとおとなしいです。そもそも地方の試合が多く、しかも丸一日かけて4日間もプレーします。高額な入場料を払っても、食事は屋台村で並んで買い、トイレは工事現場の簡易トイレを使います。なんだかな～ですよ。

しまいには選手を追いかけるのをやめテントの中でテレビを見る人が続出。だったら家のベランダでテレビ中継を見たほうがよくないですか?　というわけでトーナメント会場に行くたびに、 ゴルフはやるものだろ、と思うのでした。

●盛り上がって

特にサッカーの熱狂は凄いよね。どっちに点が入っても、大騒ぎだから

●簡易トイレ

高額なチケット代払って、なんで工事現場のトイレでウンコせにゃならないの。しかもカギ締めるの忘れたら即死だよ

●テントの中

お目当ての選手を追いかけるのも、頑張ってハーフだよね。あとはテントでモニター見ながら、ビール飲んでるほうが楽。でもそれなら自宅のベランダで酒飲みながらテレビ観戦してもええがな

●ゴルフはやるもの

熱い試合を見ると、無性にゴルフをしたくなるのは何故?　昔タイガーがマスターズで優勝した時、朝から練習場が混んでいた

ゴルフの試合を盛り上げる秘策

ゴルフ観戦の魅力は2つあります。ひとつは選手のキャラクターです。推しの選手にどれだけ感情移入できるか?　これに尽きます。そういう意味で人気があるのは、断トツ女子ゴルフです。女子ゴルフ界は、毎年フレッシュな新人が優勝するので、勢いも選手層の厚みもあります。さながら坂道系アイドルのセンター争いのような盛り上がりですかね。

逆に最近の男子ゴルフ界は、ビッグスター不在で盛り上がりに欠けます。そのためにも、大学ゴルフ部以外からのスター輩出ルートとして、ゴルフアカデミアのようなプロ養成機関の創設が急務ですよね。

そしてトーナメントの2つ目の魅力は、演出やコース設計の妙です。PGAのフェニックスオープン（アリゾナ）の会場、TPCスコッツデールの16番ショートは、2万人収容のスタジアムになっています。ゴルフなのにそこだけ野球場みたい、毎回ワンオンチャレンジショーですから。日本も真似てスタジアム化したコースを造ればいいのにと思いますね。

ゴルフの盛り上げ方ですが、それはギャラリーや視聴者が、ひと目でわかるハザードの難易度を共感できるかにかかってます。1960年代、A・パーマーは池越えパー5で、果敢に2オンを狙い、それが全米にテレビ中継され、空前のゴルフブームが起きました。パーマーに、応援団の“アーニーズ・アーミー”が熱狂したのです。トーナメントのコースは、罠にはまってペナルティを科す加罰型コースから、チャレンジした者が称えられる英雄型コースへ移行します。トーナメントを盛り上げるにはスター選手と、ビジュアル映えするコースが必要です。さらに試合会場や試合時間などの改革も必要。ゴルフは今のコスパ&タイパ時代に向いてないのです。もっと危機感を持たないと試合数が減り、男子はテレビ中継がなくなりますよ。