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【ゴルフの急所SP】#3「1打目をミスしたら“プランB”に切り替えるべし」

QTトップ通過を果たした砂川公佑が、師匠である寺西明から教わったこと、最後は具体的なコース攻略のプランニング法と、重圧に打ち勝つための徹底した準備について。

PHOTO/Hiroaki Arihara ILLUST/Wakana Satou THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部

寺西 明(左) てらにし・あきら。1966年生まれ。兵庫県出身。16年からシニアツアーに参戦。20年「日本シニアオープン」を制し、同年の賞金王に輝く
砂川公佑(右) すながわ・こうすけ。1998年生まれ。兵庫県出身。大阪学院大ゴルフ部出身。19年「日本学生」と「朝日杯」を制し、20年にプロ転向。23年ファイナルQTで優勝し、24年はレギュラーツアーにフル参戦する

1打目をミスしたら
“プランB”に切り替える

ジュニアの頃から寺西に「パー72だったら、パー68でやれ」と言われてきた砂川。パー5は一打ミスをしたとしても、プランを立て直せば挽回が利くホールで、そのためにも「30、50、70ヤードを徹底して練習しろ」と言われてきたのだという。

「グリーンに届かない距離が残ったとき、次打でそれらの距離を残せばいいと考えられるようになります。たとえば、パー5のティーショットを曲げて、2オンが狙えなくなったときは何となく刻むのではなく、30、50、70ヤードを残す。そうすれば、まだバーディが狙える。2オン2パットのバーディがプランAだとすれば、3オン1パットのバーディというプランBが選択できるんです」(砂川)

この考え方はパー4で2オンが狙えないような状況に陥っても、30、50、70ヤードを残せばまだパーがあるということ。この考え方ができれば1日で1~2打は違ってくる。4日間となると、結構な差になる。計画的にこのプランを実践し、ファイナルQTでスコアを伸ばしたのだ。


ファイナルQTの会場
「下関ゴールデンGC」
4番・554Y・Par5

4番はアゲンストの風が吹かなければ2オンするホール。「アゲンストのときにはグリーン手前50ヤードにレイアップするプランBでバーディを取りました」(砂川)

30・50・70ヤードを徹底的に練習して
スコアを組み立てる

寺西に教えを乞うてから、常に練習している30、50、70ヤードの打ち分け。30ヤードは腰から腰、50ヤードは肩から肩、70ヤードはスリークオーターの振り幅で打つ。練習場ではそれらの距離をランダムに打って、徹底的にその振り幅を体に覚え込ませる。リカバリーするための大切な一打になるので、確実に打ち分けられるようにしないと意味がない

30ヤード=腰から腰

小さな動きは腕だけで打とうとしやすいので、注意しよう

50ヤード=肩から肩

しっかり体の回転で肩から肩まで振っていくようにする

70ヤード=スリークオーター

スリークオーターの振り幅が砂川の70ヤード

重圧を受け入れて乗り越える
そのために準備を怠らない

大事な場面で重圧に負け、ミスをして負けてしまったという経験を何度も繰り返し「ゴルフは重圧を受け入れ、乗り越える経験が必要」だと寺西は言う。

「究極に重圧がかかるとしたら、それはウィニングパットでしょう。重圧というのは、場慣れすることでしか克服することはできません。だから必ず練習ラウンドで、ウィニングパットを予習するんです」(寺西)

これはただ単に、最終日のピン位置を予測するだけにとどまらない。

「自分が得意なラインを残して、最終パットを打てているか。打てているなら得意なショットで、グリーンをとらえたんだな、それならそのショットはもっと磨いとかなあかんな、ということ。すべては繋がっています」(寺西)

カップインさせてガッツポーズをするところまでシミュレーション

最終18番のピン位置を想定し、どこからストロークするのが決めやすいのか、自分の得意なラインを確認する。そこからストロークしてカップインさせ、ガッツポーズするところまでイメージできれば完璧!

持ち球を持つだけでなく、得意なショットにする必要があると砂川は続ける。

「僕が一番練習するのは9番アイアンです。最低9種類は打ち分けられないと実戦では使えないですし、得意なショットとは言えません」(砂川)

ゴルフは狙った場所にボールを運ぶ競技。アマチュアも強いゴルフを作るために、自分が誇れるショットを身に付けてほしい。

9Iで9種類の弾道を打ち分ける

「右から大きく曲がるフックに近いドロー、普通のドロー、ストレートに近いドローの3つと、低・中・高弾道を組み合わせた9種類を打てないと実戦では通用しない」(砂川)

月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号より