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「変化することにまったく抵抗はない」稲見萌寧が明かす“3つの変化”と確かな“進化”

1勝“しか”できなかった23年シーズン。それでも、9勝を挙げた20-21年シーズンよりも進化していると稲見萌寧は言う。進化の内容を、アメリカに発つ直前の昨年末、じっくり聞いた。

PHOTO/Shinji Osawa THANKS/北谷津ゴルフガーデン

稲見萌寧 インタビュー
稲見萌寧 いなみもね。2023年のTOTOジャパンクラシックで優勝し、米女子ツアー出場資格を獲得。24年シーズンはアメリカを主戦場に戦う

体主体のスウィングから
クラブ主体のスウィングに

23年は「大変だった」という稲見。確かに、結果だけを見ると、シーズン1勝というのは少し物足りなく、苦労していた様子がうかがえる。オフシーズンからのスウィング改造もあまりうまくいっていないように見えた。しかし本人は“変えること”に対しては大変ではなかったという。

「正直、“変化”をすることにまったく抵抗はないんです。これは私の性格的なこともあるんですが、いいなと思ったらとりあえず試したい。それで結果が出ないことはつらく大変でしたけど、現状維持のままよりよっぽどいい。だからこそ変化することは嫌いじゃない。それが進化になると思っていますから」

TOTOジャパンクラシックで約1年ぶりの優勝。そこには、4度目のスウィング改造のきっかけとなる柳橋章徳コーチの存在が大きかったという。

「6月末に、昔から知っていた柳橋さんに相談しました。そこからですね、大きく変わったのは。今までは体の動きにクラブがついてくる、体が主のスウィング。でも、柳橋さんに教わったのは『クラブを使う』というまったく逆のことでした。でもそれを取り入れることで、体への負担も少なくなり、球を押していけるスウィングになったんです」

「昔から知っているので考えていることもわかるんです」(柳橋)
「近所のおじさんって感じなんです(笑)」(稲見)

8年ぶりのアイアン変更

もうひとつの進化はクラブ。23年シーズン終盤の10月に8年ぶりにアイアンを替えたのだ。8年というのも凄いが、シーズン終盤にアイアンを替える選手というのは稀。なぜ替えることになったのか?

「前まで使っていたアイアンセットのフェースが古くなりすぎていたのがきっかけです。クラブもスウィングと同じで、いいと思ったら替えたいのですが、特にアイアンの場合は、私の生命線なので“いい”と思えるまでが試し始めてから少し長いんですよね。なので、7月末から始めて替えるのが結果的にシーズン終盤になってしまったんです」

理想はパーオン率90%を超えること。14本のクラブのなかでもアイアンは特に好きだと話すが、クラブに求めるものは何なのか?

「顔も打感も打音も好みであること。そして弾道のイメージすべてが合うことです。そういう意味で、今回替えた『ミズノプロ243』はすべてがマッチしていました」

稲見のクラブへのこだわりは女子プロとは思えないほど強かった。

周りに頼れるようになった

最後の変化として語ってくれたのが内面。今までは感情的になることが多かったというが、どのように進化したのか?

「皮一枚くらいは大人になったかなと(笑)。今までは何か壁にぶつかると『なんで?』って周りをシャットアウトして、1人で追究しようとしてしまい、周りに頼ることをしなかったんです。まだちょっと苦手なんですけど、周りに歩み寄って相談したり、自分の考えと相手の考え方をすり合わせてよりよい方向へ進めるようになったんです」

米女子ツアー参戦もチームでの話し合いの結果だという。

「チームで話してみんなが行こうよと後押ししてくれたのが大きいですね。アメリカでもチームと協力して戦っていきたいです」

アース・モンダミンカップからタッグを組んだ柳橋コーチ。昔から知っている仲ということもあり、相談もしやすいと稲見は言う

>>稲見萌寧が取り組んでいる
とっておきの練習法を教えてくれた!

月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号より