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【インタビュー】櫻井心那<前編>「開幕当初は“怖さ”があったんです」

ステップ・アップ・ツアー5勝という驚異的な成績を挙げ、満を持してフル参戦したレギュラーツアーで4勝。あっという間に女子プロ界の主役候補に躍り出た櫻井心那にじっくり話を聞いた。

PHOTO/Osamu Hoshikawa、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Takanori Miki

櫻井心那 さくらいここな。2004年生まれ長崎県出身。7月資生堂レディスでツアー初優勝を果たすと勢いに乗り、シーズン4勝。10代でのツアー3勝は史上3人目の快挙

優勝したことで自信につながった

――2023年は飛躍の1年だったと思います。資生堂レディスでレギュラーツアー初優勝、そこから3つの勝ち星を重ね、一気にトッププロの仲間入りを果たしました。レギュラーツアーにフル参戦して、どうでしたか?

櫻井 レギュラーツアーは日本のトップ選手が集まる場所なので、開幕当初は怖さがありました。みんな当たり前に上手ですし、勝手に怖いイメージがついちゃって……。とくに最初のうちは、前半戦の出場権しかなかったので、優勝するまではリランキングのことばかり考えていました。結果を出さなきゃという怖さもありましたし、メンタルもあまりいい状態ではなかったです。

――2022年のステップ・アップ・ツアーのときにも怖い感情はありましたか?

櫻井 怖さでいうと、ステップのときは全然なかったです。レギュラーツアーという次のステージがあるから、ここで止まっているわけにはいかないなって気持ちでした。ステップで戦いながらも、常に上を目指してやっていました。

櫻井心那のツアー成績優勝試合数予選落ちトップ10
2022年(レギュラー)0回52回(棄権1)1回
2022年(ステップ)5回1610回
2023年(レギュラー)4回375回12回

――結果的にはシーズン4勝。どの辺から恐怖心は消えていきましたか?

櫻井 資生堂レディスで初優勝してから、気持ちがだいぶ変わりました。“自分でも優勝できるんだ!”っていう自信がついたことで、気持ちが落ち着いてきて、成長できたんだと思います。これは、ステップで初優勝したときも同じで、優勝したことで自分のプレーに自信が持てるようになり、結果がついてきたのかなと思います。あとは環境が変わったことで、自分が得る情報量はかなり変わりました。でも、やっていることは昨年とまったく変わっていないです。練習の仕方や量、気持ちの持ち方、プレースタイルも同じです。

2022年 長崎にて

高校時代を過ごした長崎日大高校がある諫早市の商店街にて。ここにある鰻屋さんが大好きだという

2023年 東京にて

2023年は東京タワーをバックに。「昨年の12月とは忙しさが全然違います」と櫻井。活躍した証拠だ

――メンタル面がかなり成長したとのことですが、自分自身で気を付けていたことはありますか?

櫻井 優勝をしたことで自信がつき、不安な気持ちや怖い気持ちは少しずつ減ってきました。でも、試合を通じてネガティブになることはもちろんあります。そんなときは、まず自分の状況を変えなきゃいけないから、現状を紙に書き起こしたりしています。あと、練習中にキャディさんとよく話をします。『ここを伸ばしたら上手くいくんじゃない?』『こっちに目を向けたらいんじゃない?』などアドバイスをもらいながら、練習をしています。もらったアドバイスは必ずメモに残して、昨年のと見比べながら、ちょっとずつ自分自身を理解して、生かすようにしています。

――技術面で変わったところはどこですか?

櫻井 パーセーブ率が上がったことが結果を残せた要因のひとつだと思います。アプローチがとにかく苦手だったので、ひたすら練習しました。そのおかげで、もったいないボギーが減って、パーをしっかり拾えるようになりました。でも、技術面はほんとにまだまだです。開幕当初に比べたらちょっとはマシになったな〜ってくらい(笑)。それこそ、優勝してからは上手な選手と回る機会が多くなって、そこで改めて自分はまだまだだと感じましたね。

「2打目以降の精度をアップしたい」

「全部課題なんですが、2打目以降ですね。もったいないボギーとか、バーディの取りこぼしとか、精度が上がれば数字もよくなるはず」と櫻井。パーオン率23位、サンドセーブ率64位と、課題は明確

――それでもシーズン4勝はすごいと思いますが……。

櫻井 今年は結果が出たけど、技術はほんとにまだまだです。なので、自分自身も納得がいっていません。それこそ、こんなに勝てたのは技術なんかじゃなく、強い気持ちと勢いの部分が大きいと思います。

>>後編はこちら

月刊ゴルフダイジェスト2024年2月号より

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