最近どうも“調子が悪い”? いえいえ、それが実力です
TEXT/SHOTANOW
メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!
「最近、調子が悪いんですが、どうしたらいいですか?」
教え子たちから、しばしばこんな質問を受けます。話を聞くと、これまでどおりのスコアが出ない、思いどおりのショットが打てないなど、その状態はさまざまです。
共通しているのは、悪い結果が続いているということ。
皆さんも、大叩きのラウンドが1回あったからといって、「調子が悪い」とは思わないはず。競技レベルでプレーしているジュニアも、一定期間、思うような結果が出ない状態が続くと、僕に相談しに来るのです。
スコアやショットの内容において、良くない結果が何回も続くと、「あれ、調子が悪いかも」と感じ始めるようになる。つまり、「良くない結果が続いた」=「調子が悪い」と、自分でレッテルを貼ってしまっているのです。「思い込み」といっても過言ではないかもしれません。これが「調子が悪い」の正体です。
悪いスコアやショットは、それも含めて自分の実力です。これまでがたまたま良かっただけ、という可能性もあるでしょう。
結果というのは、自分自身でコントロールすることができません。できるのは、「構えたらリズムよく動かす」といったシンプルなことを気をつけるくらい。
結果が悪いときほど、修正をしようとこれまでとは違うことをやりがちですが、そんなに都合よくピースがはまり、改善されることはないでしょう。たまたま一時的に結果がよくなったとしても、その場しのぎの応急処置的な修正を繰り返すうちに、どんどん悪い方向へ陥ってしまいがちです。
なので、良くない結果が続いたとしても、まずはそれも実力のうちと認める。そして、自分ができるもっともシンプルなことに集中する。遠回りのようで、これが元の道に戻る最短ルートなのです。
青木翔
あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている
週刊ゴルフダイジェスト2021年3月16日号より
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