【名手の名言】トム・ワトソン「成功の確率を上げたければ、失敗の数を倍にすることだ」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回はジャック・ニクラスを継ぐ“新帝王”とまで呼ばれた名手、トム・ワトソンの言葉を2つご紹介!
成功の確率を上げたければ
失敗の数を倍にすることだ
トム・ワトソン
トム・ワトソンの全盛時代は1980年代だが、その少し前まではドライバーショットは真っすぐいくときと曲がるときの差が大きく、攻め方もピンだけを真っすぐに狙うようなゴルフをしていた。
うまくツボにはまったときはすごいスコアが出るのだが、失敗も当然多かった。たいてい、こういうゴルファーは一発屋で終わることが多い。メジャーに勝っても1勝限り……というような。
しかしワトソンは違った。これらの失敗を何度も経験することにより、成功の確率を上げていく賢さがあった。
ワトソンは名門スタンフォードで心理学を学び、卒業している。これは大変価値のあることで、多くの一流プロたちは大学に入っても卒業するのは稀だった。
文武両道のワトソンは、失敗という経験を糧に改良を重ね、全英オープン5勝を含むメジャー8勝を挙げるまでになった。
球聖ボビー・ジョーンズが語った「勝った試合より負けた試合から学んだ」という言葉にも通じるワトソンの名言である。
目に見えない力が
私を引っ張ってくれたのかもしれない
トム・ワトソン
これは、2009年の全英オープンで、59歳のT・ワトソンが142年ぶりの最年長V記録を逃した直後のインタビューでの言葉であるが、この言葉には実は続きがある。
「ブルースが見ていてくれたのか、上にいる多くの人が私を応援してくれたのもしれない」
ブルースとは、ワトソンのキャディを長く務め、兄弟以上、文字通りの親友になり、2004年に難病・ルーゲーリック病で他界したブルース・エドワーズのことである。
「霊性的なものを感じた1週間だった。コースに絶対何かがいた。その何かがここまで導いてくれたのだ。ターンベリーだからかもしれないね」
ターンベリーでは、1977年の全英オープンで帝王ジャック・ニクラスと死闘を演じ、ワトソンが“新帝王”の称号を手にした勝利として、人々の記憶に刻まれている。
試合後、ワトソンが記者から「明日の新聞の見出しはどうなると思う?」と聞かれ、しばらくし、はにかみながらこう言った。
「The old fogey almost did it」(時代遅れの男、一歩及ばず)
■トム・ワトソン(1949年~)
米国・ミズーリ州カンザスシティ生まれ。スタンフォード大学を卒業し、71年にプロ入り。PGAツアー39勝。メジャーは全米オープン1勝(82年)、マスターズ2勝(77、81年)、全英オープン5勝(75、77、80、82、83年)計8勝。帝王ニクラスを継ぐ新帝王といわれるまでになったが、極度のイップスに襲われ、全米プロはとれず、グランドスラマーにはなっていない。知性派として知られ、88年にはゴルフ殿堂入りも果たした。
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