【キミこそ王子だ】Vol.288 研修生からプロを目指す! しなやかさと力強さを兼ね備えた東北の美スウィンガー
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は宮城県出身、東北高校3年生の三上優心くん。「東北ジュニア」や「宮城県ジュニア」などで優勝経験のある実力者。柔らかさと力強さを兼ね備えたスウィングに武市もホレボレ!
今回の王子候補
三上 優心くん
みかみ・ゆうしん ●主な戦歴/2022東北ジュニアゴルフ選手権15~17歳の部 優勝 ●ベストスコア/67(霞ヶ関CC西C) ●練習/1日300~400球 ●トレーニング/部活で片足スクワットやジャンプなどの筋トレ
小学校4年でゴルフを始めた三上くん。ゴルフが好きな父親と一緒に練習場に行ったのがキッカケ。そして、そのころから毎日欠かさず行ってきたのがストレッチと軽い筋トレだ。その努力はスウィングにも表れている。
取材の日は「テスト準備で忙しく、クラブを握るのは2日ぶりなんです」という三上くんだったが、ブランクをものともしない、恐ろしくしなやかで、恐ろしく力強いスウィングに武市は驚愕した。
「キレキレだね!」
ドライバーの飛距離は、平均で290ヤード。高3男子のなかでもトップクラスだ。
「彼のスウィングは典型的なシャットフェース&レイドオフ。トップはコンパクトだけど、子どものころからストレッチをやっているから、肩甲骨周りの可動域が広く捻転差が大きいのが特徴。それにプラスして、体にキレがあって回転スピードも速いから、間違いなく飛ぶ。捻転差が大きいってことは、タイミングがズレると振り遅れることもあるけど、優心くんは強い背筋力を使い、インサイドからヘッドを戻しジャストなタイミングでインパクトしている。そうすると、球筋は必然的にハイドローとなるから、安定した飛距離が出せるんだよね。ブラボーです!!」
「ありがとうございます」
この素晴らしいスウィングを教えたコーチは誰かを尋ねると、始めたころから現在まで変わらず父親に教わっているとのこと。
「お父さんの教えで何を一番大切にしている?」
「トップで切り返すときの、体重移動の仕方です。体重を真横に移動させるのではなく、右足かかとから左足つま先へ対角線に移動させるイメージです。そうすることで、リズムもよくなりますし地面の力も使える気がします」
「地面を蹴って返ってくる力、いわゆる”地面反力”を意識して体の回転を加速するイメージがあるんだね」
「そうですね」
「さすが、羽生結弦さんの母校、東北高校の生徒だけあるわ(笑)。ほら、フィギュアのジャンプは地面反力を使う典型的な例でしょ」
「なるほど(笑)」
現在、高3の三上くん。そこで気になるのは、進路だ。ジュニアの場合、女子は高校卒業とともにプロになる選手が多いが、男子は大学へ進学してからプロになる選手がほとんどだ。そんな現状のなか、三上くんが選んだのは就職。
「卒業後は、表蔵王CCで研修生として働いてプロを目指します」
「スバラシイ! ボクも研修生の経験があるけど、毎日ゴルフ場で練習できるしキャディも人生勉強になるからね」
「はい、がんばります!」
将来は、「日本オープン」や「日本プロ」など”日本”のつく大会で優勝するのが目標。「海外進出は、その後で考えます」という三上くん。
「地に足がついていて本当にがんばってほしいし、きっと今の実力なら目標を叶えられるはず」と彼の信念を後押しする武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20日号より