【キミこそ王子だ】Vol.285 参考にしているのは高校サッカーの名将の教え!? スウィングも考え方もしっかりした四国の高3男子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は愛媛県出身、四国学院大学香川西高校3年、田村軍馬くんだ。中学から、数々の四国大会で優秀な成績を残している彼。得意クラブは「全部」というだけあり、球さばきはバツグン!
今回の王子候補
田村 軍馬くん
たむら・ぐんま ●主な戦歴/2022四国アマチュアゴルフ選手権2位タイ ●ベストスコア/63(サンヒルズCC) ●練習/毎日400球 ●トレーニング/7キロのランニング、筋トレ、体幹、坂道ダッシュetc
武市が訪れたのは、四国学院大学香川西高校ゴルフ部。これまで何人ものプロを排出した四国の強豪だ。部員は授業が終わると、学校から7キロ離れた練習場まで走るのが部の伝統だそうだ。
「毎日7キロ走ったら、いいトレーニングになるな~」と言いながら、練習場で待っているとトップの生徒が到着。
今回の王子候補、田村軍馬くんだ。彼は走るのが得意で大抵1番らしい。あいさつを済ませると、手際よく部室から全部員のキャディバッグを出し所定の位置に並べる軍馬くん。
「1番に到着した人の仕事なの?」
「はい、そうです」
「2番のほうがいいじゃん(笑)」
「そんなことないです」
「冗談、冗談。すごくいい伝統だね」
ランニングの後は、ストレッチ、そして日替わりで筋トレ、体幹トレーニング、坂道ダッシュを行うらしく、男子部員はみんないい感じにマッチョだ。軍馬くんも例外ではなく、メチャクチャたくましい脚をしている。
スウィングを見た武市は「やっぱり、日々のトレーニングの成果が出ているね。低重心で安定感がある」と称賛。
球筋は軽いフェード。ドライバーはキャリーで270ヤードと飛距離も出る。
「スウィングで気を付けていることはある?」
「大きくどっしり構えたいので、アドレスでひざを前に出すのではなく、股関節を引くように意識しています」
「スウィングの良し悪しはアドレスで決まるといっても過言ではない。特に、土台となる下半身が不安定だと、いろんな部分に支障を来たすよね。手元が浮いて、球が右にも左にも曲がったり、ひざが左右にブレてクラブが上から入りすぎちゃったり、いいことない。だから、安定して構えられる足の位置や骨盤の向き、角度はすごく重要。軍馬くんはそれを理解しているし、しっかりトレーニングもしているから、アドレスが安定感バツグン。同時に連動している上半身の動きもコントロールできていて、上下のバランスがとてもいい。だから、クラブさばきがすごく上手だわ!」と武市は褒めた。
父親の勧めで6歳からゴルフを始めた軍馬くん。練習場の無料レッスンで手ほどきを受けたのち、独学でスウィングを構築した。
「参考にするプロはいるの?」
「スウィングに関しては、特にいないのですが、考え方とか取り組む姿勢などは、黒田剛さんを参考にしています」
「黒田さんって誰?」
黒田剛さんとは、全国高校サッカー選手権でこれまで3度の優勝を果たしているサッカーの名門・青森山田高校サッカー部の監督だ。徹頭徹尾、勝負へのこだわりを主眼にした指導が注目を集めている。
軍馬くんも「理想ではなく、現実を見つめているところが惹かれますし、良いと思います」と言う。
「なかなか面白いね! スウィングもしっかりしているけど考え方もしっかりしている」と感心する。
高校卒業後は大学に進学予定の軍馬くん。どんな選手に成長するのか、大いに楽しみだ。
週刊ゴルフダイジェスト2022年11月8日号より