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【キミこそ王子だ】Vol.281 スウィングに、練習法に「ゴルフが好き」がにじみ出る! 末恐ろしい中学生

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は、兵庫県出身、兵庫教育大学附属中学2年の大西晃盟くん。8月中旬に行われた「日本ジュニアゴルフ選手権」で見事優勝した彼の特徴は、「球づかい」の上手さ。その技術に武市も脱帽!

今回の王子候補

大西晃盟くん

おおにし・こうめい ●主な戦歴/2022 日本ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部 優勝 ●ベストスコア/61(つるやCC西宮北C) ●練習/毎日270球 ●トレーニング/体幹トレ2週間に1回1時間


「優勝おめでとう!」

「ありがとうございます」

まずは笑顔で挨拶を交わす、武市と大西晃盟くん。日本ジュニアでの勝因を聞くと意外な答えが!

「2日目に雨が降ったので、いいスコアが出せました」

「雨好きなの?」

「はい」

武市はこの時点で、「彼は相当なゴルフ好きに違いない」とにらんだが、その予感は彼の練習風景を見て、確信へと変わった。

「ほとんどのジュニア選手が、理想のスウィングプレーンを目指し、それに対し、毎回狂いなく打つ練習を重ねている。それはそれで素晴らしいと思う。実際、『機械が打っているの?』と思うくらい、正確無比なスウィングをする選手もいて、本当にびっくりする。でも、晃盟くんは、それとはちょっと路線が違う選手だよね。特にアプローチ練習では、100球打つとしたら100回違う打ち方をするといっても過言ではない。ボールを沈めたり、ラフとベアグラウンドの境目に置いたり、わざと悪いライを作っていろんな打ち方を試している。それがまた、どんなライからでも上手に打つ」


楽しそうに練習している晃盟くんを見て武市も楽しそうだ。

「ゴルフ好き?」

「一日球を打っても飽きません」

ショットもシャローイングやレイドオフといった“イマドキ”の主流ではない。

「右ひじが体から離れないようにバックスウィングし、コンパクトなトップを目指すのが“イマドキ”だとしたら、晃盟くんは逆。右腰までバックスウィングしたときには右ひじが体から離れ、トップが高い。そこから、クラブの落下速度を生かし、球を上からとらえるのが特徴。上から打つとわずかな打点の狂いで、球がバラつくと思うかもしれないけど、彼は体の回転を止めずに、上から叩くというより押しながら打ち抜く。だからインパクトゾーンが長い。スピン量も適正だし、方向性も飛距離も安定しているよね」

「日本ジュニア」では直ドラショットもあったそうだが、それを躊躇なくできるのは晃盟くんだからこそ、と武市はいう。

「彼のように上手に上から球をとらえれば、どんなライでもへっちゃら。いろんな球が打てるから、コースも芝も選ばない。中学2年でこんなに球づかいがうまいなんて、スゴすぎる」と感心しきりの武市。

4歳でゴルフを始めた晃盟くん。球を前に飛ばすのが面白く、すぐに夢中になったという。小3からは“勝負”する楽しさにも目覚めたそうだ。

「当時のコーチとアプローチ合戦するのが楽しかったです。たまに勝つとご褒美をもらえたし、何よりプロに勝つのが嬉しかったです」という晃盟くん。自他ともに認める負けず嫌いという性格も、プロ向きだろう。

「何度もいうけど、まだ中2だよ。これからどんな選手になるのか、楽しみでしかない!」と武市は期待を膨らませた。

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月13日号より