【キミこそ王子だ】Vol.249 3カ国語を操る国際派「アメリカの大学で経営学を学びたい」
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補はアメリカ生まれ、日本育ちの木ノ下美宇さん。名古屋インターナショナルスクールに通う高校1年生だ。日本語、英語、韓国語が話せる彼女はスウィングも世界級! その打ち方とは?
今回の王女候補
木ノ下 美宇さん
きのした・みう ●主な戦歴/2022 全国中学校ゴルフ選手権春季大会 2位 ●ベストスコア/66(明智GC明智G) ●練習/毎日1時間200球 ●トレーニング/週1回 体幹トレ
美宇さんがゴルフに興味を持ったのは小学4年生のとき。タイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ、ミッシェル・ウィが出ているユーチューブのCMを見て、「カッコイイ」と思ったのがキッカケ。
そのことを父親に話すと、ゴルフの基本は素振り。まず素振りをしよう! ということになり、ある朝、近所の公園で素振りをするため父親と出かけた美宇さん。
さっそく素振りをしていると……偶然、通りがかりの紳士から「よかったら使って」と手渡されたのが練習場のチケットだったのだ。
実はその紳士、近々に引っ越すとのことで、チケットが使いきれないということからもらったというが、ゴルフを始めた初日にそんな出来事が起こった。
そんな偶然の出会いもあり、はからずも本格的にゴルフを始めることに。すると、バツグンの運動神経を生かし3カ月で100、半年で90を切るまでに上達。その後も順調に実力を伸ばし中学3年の全国大会では2位になった。
武市も彼女のスウィングを見るなり、そのポテンシャルの高さに驚愕!
「身長も170センチと高く、腕も長いし体幹もしっかりしている。それだけでも、うらやましいけど、もっとすごいのは、その恵まれたポテンシャルを120%生かしていること」と称賛。
「彼女の持ち球は飛距離の出るドローボール。そのカギとなっているのが、ややインサイドから振り下ろすスウィング軌道。インサイドからクラブを下ろすと、ヘッドの入射角が緩やかになるので、打ち出しを高くしてバックスピン量を少なくすることができる。だから伸びのある弾道で飛距離を出せる。理論上は簡単そうなんだけど、真似しようとするとこれがかなり難しい。あまり意識してやりすぎると、振り遅れてダフったりしちゃうし、そのまま右へプッシュアウトにもなりやすい。でも彼女は、体幹が強いので、インパクトで体がまったく開くことなく打てるのが最大の武器だね」と絶賛した。
近年、高校を卒業したばかりの新世代が次々と活躍している女子プロ界だが、美宇さんは大学進学を志望している。
「スタンフォード大学に行きたいです」
「タイガー・ウッズやミッシェル・ウィが通っていた大学だね!」
「はい。そこでゴルフをやりながら経営学を学びたいです」
「すごい!」
「先のことはまだわかりませんが、アメリカでプロになってLPGAで活躍して、そのあとのセカンドキャリアなども視野に入れつつ、ゴルフと勉強の両立を目指していきたいと思っています」
体格にも恵まれ、さらに枠にとらわれない考え方は、世界で活躍する選手になるのは間違いない! と確信する武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2022年5月31日号より