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【キミこそ王子だ】Vol.270 高効率ドローで規格外の飛び! 笑顔が魅力の九州ジュニアチャンプ

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、福岡県出身、沖学園中学校3年の藤本愛菜さんだ。小学校5年からゴルフを始め、わずか数年でトップアマに上り詰めた彼女。その秘訣とは?

今回の王女候補

藤本愛菜さん

ふじもと・あいな ●主な戦歴/2021 全国中学校ゴルフ選手権 6位タイ ●ベストスコア/64(大分CC月形コース) ●練習/1日400球 ●トレーニング/体幹トレーニング


強豪ひしめく沖学園ゴルフ部のなかでも、飛ばし屋と言われているのが藤本愛菜さん。プロフィールにはドライバー飛距離240ヤードと書いてあるが、「それはウソ。私はいつも50ヤード置いていかれる」とゴルフ部仲間は証言する。

ゴルフを始めたのは、父親の影響で小5のとき。現在、中3なのでゴルフ歴は5年弱。にもかかわらず、昨年は「九州ジュニアゴルフ選手権」で優勝を果している。

「始めたときから、そこそこ当たった」という愛菜さん。それまで水泳を真剣にやっていたこともあり、基礎体力はバッチリなのだ。

「たまにいるよね。最初から球に当てる能力がある人って。彼女は見るからにそんな感じ。体幹もしっかりしているしパワーもある」と武市。試しに腕相撲をしてみると、あっという間にねじ伏せられてしまった。

「ボクが非力なこともあるけど、いや、彼女はマジで強い! 握力もある!」と舌を巻いた。


そんな身体能力のある彼女のスウィングは。3人の師匠により作られている。トップアマAさんからはアドレスなどの基本を、トップアマBさんからはスウィング全体を、そしてティーチングプロからはメンタル的なことを教わっているそうだ。

スウィングを見た武市は「たしかに飛ぶね~」と感動。

「パワーはもちろんあるんだけど、それだけじゃない。彼女の最大の特徴は、コンパクトなトップで切り返しのタイミングが早いこと。そして、腕をあまり使わず、体の回転で振っていくタイプ。つまりシャフトのしなりを生かしたスウィングってこと。ただ、切り返しのタイミングが早いと体が開き、振り遅れてしまうリスクがある。その点、彼女はうまくこらえ、右斜め前にクラブを押し出すように振っているよね。そうすると、軌道はインサイドアウトとなり、入射角は浅くなる。結果、低スピンでランが出る。これが飛ぶ理由だね」と解説。

ここ一番飛ばしたいときは、どんなイメージで振るのか、聞いてみると、「バコーン!」って感じで振ります、と笑って答える彼女。

「体力はあるけど、器用ではないので、たくさん練習します」と言い、1日の球数は400球!

「すごいね。パワーの源は何?」

「焼肉です! あとしゃぶしゃぶとメロン」

「高級品ばっかりじゃん(笑)」

「それ以外食べられないんです。野菜も嫌いだし、肉も鶏と豚はダメなんです」

「なかなかの偏食だね」

「そうなんです。あと、お菓子も大好き。コレがないとラウンドできません」と笑いながら、キャディバッグに詰まった、たくさんの袋菓子を見せてくれた。

明るく屈託のない性格の愛菜さん。ゴルフ部でも“愛されキャラ”として慕われている。仲間と楽しそうにじゃれ合う彼女を見て、「なんか沖学園のゴルフ部、楽しそうでいいな。ボクも今から入りたい」とつぶやく46歳の“雑巾王子”。豪快な飛ばしと、笑顔が魅力の“王女”に会い、微笑ましい気分になったようだ。

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月29日号より