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【世界基準を追いかけろ!】Vol.75「コーチを目指す若手が増えている」

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は情報通のX氏を交えて、コーチ業界の活性化の背景を考察する

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 最近、コーチになりたいという若い人が増えているということですが。

黒宮 僕が教えている大学生のなかで、元々はプロを目指していた21歳の子が、「将来、コーチをやりたいんです」と言ってきたんです。それもパッティングコーチになりたいと具体的に言っていて、コーチを職業として真剣に考えているんだなと思いましたね。

X 凄いですね。そういう若い人がいるんですね。

黒宮 そうなんですよ。その子は男子ですけど、もう一人、同じ中部地区で女子でコーチを目指したいという子がいるんですよ。パッティングコーチを目指しているその男子は、福岡のエンジョイゴルフ(※1)に勉強しに行ったりしています。


目澤 橋本さん(※2)のところにも勉強に行っているのかな?

黒宮 行っていますね。そうした若い子が出ると、橋本さん側にも危機感が生まれているようで、最近、橋本さんのインスタグラムの投稿のクオリティが上がっている気がします(笑)。

X 確かに、投稿の内容がアカデミックになってきていますよね。

GD 若い人がファーストキャリアにゴルフのコーチを考えるようになった背景は何でしょう。

黒宮 ひとつあるとしたら、マスターズでの松山プロの優勝と、オリンピックでの稲見プロの銀メダルで、それぞれのコーチである目澤くんと奥嶋さんへの注目度が上がったということかと思います。今後も、もっと二人がコーチ界を引っ張っていってくれればいいですよね。

目澤 いやいや、アメリカに比べたら日本はまだまだで、いまだコーチのステータスも注目度も全然低いですよ。

X でも、目澤・黒宮両コーチがデジタル機器をツアー現場に導入してデータを示しながらコーチングをしてきたことによる、業界に与えた影響は大きいんじゃないですかね。以前のコーチは、ある程度経験を積まないと信用されないような部分がありましたが、二人のように画像とデータをその場で見せて、それを基に説明するやり方は客観性がありますし、信頼感も生まれると思います。

目澤 そういえば、最初にフライトスコープなどをツアー会場に持ち込んだときは、あいつら何を使っているんだって怪訝な顔をされたのを覚えています。

黒宮 
初めてツアーにコーチとして帯同して行ったのは、かれこれ7年前ぐらいでしたが、「選手を説得するのは機材とか数字じゃなく付き添う時間だから」と言われたこともありました。でも最近は、機材を持ち込む人も増えてきて、現場のヒリヒリ感みたいなのを感じます。

X 先ほどの橋本コーチの話じゃないですが、いい意味での相乗効果がコーチ業界の活性化を促しているわけですよね。

黒宮 そうやって、コーチ同士がお互い切磋琢磨している姿を見て、プロのコーチというものが、若者の憧れる職業になってくれると嬉しいですね。

(※1)ショットやパッティングの弾道解析器などのインドアゴルフ関連製品の総合エンターテインメントコンテンツプロバイダーである『エンジョイゴルフ&スポーツジャパン』の福岡直営店。(※2)橋本真和氏。『エンジョイゴルフ&スポーツジャパン』のスタッフ。パッティング専門コーチとして、多くのプロゴルファーの信頼を得ている

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月22日号より