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「ゴルフに真面目で、正対していた」団塊世代の無頼派作家・高橋三千綱氏逝く

団塊の世代を代表する芥川賞作家、高橋三千綱氏が逝去。ゴルフに淫し、その著作も多かった。享年73。

1948年、大阪に生まれたが、東京を皮切りに各地に転居。高校卒業後、米国留学を経て帰国、早稲田大入学、中退。東京スポーツ新聞社に入社し、記者の傍ら、小説を執筆。1978年、「九月の空」で芥川賞を受賞し、作家業に専念。多作で、さまざまな分野の小説を遺しているが、それらの功績は他のメディアに任せるとして、ここではゴルフのことを語りたい。

高橋氏がゴルフを始めたのは1982年、34歳のとき。十二指腸潰瘍手術後、医者に勧められたのが契機という。その4年後に八王子CCに入会し、病膏肓(やまいこうこう)に入ることとなった。そしてゴルフは趣味の域だけでなく、作家としての仕事の一部ともなっていく。ゴルフ小説「フェアウェイの涙」をはじめ、ルポ「倶楽部チャンピオン物語」、漫画原作「Dr. タイフーン」などが代表作といえよう。

小誌に高橋氏の“痕跡”を探してみると、「ノンフィクションファイル」という企画で書き手として登場している。列記すると──。96年4月16日号、横田真一「心の中はマスターズ」、99年5月11・18日合併号「谷口シンドローム」、01年5月8・15日合併号、伊澤利光「進め! わが道」、03 年4月29日号小池リサ「美人女子プロ放浪記」などだ。その時代、輝いていた人物を鮮やかに浮き彫りにしている。

「みっちゃんはゴルフにほんとうに真面目で、正対していました」と話すのは解説者のタケ小山だ。小山は「ぼくがアメリカに働きに行くのに、背中を押してくれましたし、現在この仕事をしているのも三千綱さんのおかげ。恩人なんです」と話す。同じ八王子CCの会員で、喜んで“アッシー君”も務めたと笑う。7月末で八王子CCを退会した高橋氏にクラブを届けたのも小山で、その際、対面もできたという。

後半生は病気との闘いでもあった。十二指腸潰瘍手術のあとは、糖尿病、アルコール性肝炎から肝硬変、胃がん、食道がんと罹患したが、それを逆手にとって、それらを嗤(わら)い自身を客体化した著作も物している。

以前、小誌OBが主宰するコンペに当方も参加させてもらっていたが、朝、食堂に入っていくと「寒いね」と熱燗を飲んでいる高橋氏がいた。その日はゴルフが終わった後、立川の街で高橋氏、元東スポ女性記者、当方と3人で2軒ハシゴしたのを覚えている。

団塊世代の無頼派が1人去った……。合掌

(特別編集委員 古川正則)

小山氏(左)と高橋氏(写真提供:タケ小山)

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より