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【猛暑ゴルフ対策の緊急提言】<前編>シャツをインするのはやめませんか?熱中症予防に裾出しが有効

年々、厳しさを増す日本の夏。ゴルフをするにも熱中症の危険がつきまとう時代に。シャツを出すだけで熱中症が防げるのならば、試さない手はない。“伝統のマナー”か、“健康を守る実利”か。“熱中症のスペシャリスト”に話を聞いた。

PHOTO/ Yoshihiro Iwamoto、Akira Kato、Getty Images

解説/三宅康史

一般社団法人「熱中症総合研究所」所長(代表理事)を務めるほか、熱中症対策本の『熱中症改訂第2版』(へるす出版)などの執筆も手掛ける熱中症のスペシャリスト

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少し前のこと、サッカーの育成年代で「シャツの裾出し」が議論になった。育成年代ではシャツの裾を入れること=身だしなみとされる風潮があったが、ある実証実験でユニフォームの裾を出したほうが上半身の温度が4度下がる結果が出たことで、身だしなみより健康を優先する動きが広がった。

ところで、なぜ裾を出すと熱中症のリスクが下がるのか。熱中症総合研究所所長を務める“熱中症のスペシャリスト”三宅康史医師に理由を聞いた。

「シャツの裾を出すことで、煙突効果とふいご効果と言われる2つの“空調効果”が得られます。煙突効果とは暖められた空気が下から上に上がっていくことで、衣服内の熱や湿気を外に逃がす効果です。裾を出すことで下から新しい空気が入って、襟首あるいは袖に空気が抜けていく。わかりやすく言えば、空調服のようなもの。ウェアの下から空気が入って上に抜けるというのと、ファンから強制的に空気を取り込んで首に抜けるというのは構造的に似ているんです。裾をズボンの中に入れた状態だと下から空気が上がってこないため、煙突効果を得ることができないのです。

もう1つはふいご効果といって、体の動きによって服がはためくことで服の中に空気が送り込まれて熱や湿気を外へ逃がす効果。当然、裾を出したほうが空気の通り道が増え、得られる効果も大きくなります」(三宅医師)

では、ゴルフにおける“身だしなみ”という問題についてはどうだろうか。PGAツアーでは、事前に許可を得たリッキー・ファウラーが裾出しでプレーした事例などがあり、賛否の声が上がりつつも、衣類の機能性や快適性を重視する動きが広がっている。

“伝統的な”ゴルフのドレスコードは厳格であるが、命の危険を伴うほどの近年の猛暑においては、ゴルファーの健康を守ることが何よりも優先されるべきだろう。確かに、他人を不快にさせるような身なりはよろしくないものの、こうした“国際的な事例”を見るにつけ、熱中症のリスクを軽減もするとあっては、むしろダメな理由を見つけるほうが難しい。

「シャツはイン」という常識にとらわれず、安全で快適なラウンドを楽しむための新たなスタイルを前向きに受け入れる時期に来ているのではないだろうか。

裾出しすることで2つの“空調効果”が得られる!

ふいご効果
体の動きによって服がはためき、内部の熱や湿気を外へと追い出す現象。ゴルフのスウィング動作によっても服の中に空気が送り込まれるため、ウェア内を涼しく保つことができる

煙突効果
暖められた空気が下から上へと上る現象。裾を出すことで下から新鮮な空気が入り、暖まった空気が襟元や袖口から逃げていくため、衣類内の温度上昇を抑える効果が得られる

“健康”か“マナー”か ジュニアサッカーでも議論に

猛暑の中での「シャツイン」は熱中症のリスクを高めるとサッカーの育成年代で議論に。ゴルフも同様、安全を最優先した新たな着こなしを考えるべき時期に来ているのではないだろうか

【2019】
PGAツアーの事前許可を得て
R・ファウラーが裾出し

リッキー・ファウラーがPGAツアーの事前の許可を得て、ポロシャツの裾を出したスタイルでプレーする姿が見られた2019年。“伝統”を重んじるゴルフ界のドレスコードに一石を投じ、ギャラリーの間でも大きな話題と議論を巻き起こした

【2021】
P・ミケルソンの裾出しはR&Aに認められず!?

全英オープンの練習日、サングラス、短パン、裾出し姿のフィル・ミケルソンが目撃され話題に。だが、翌練習日はサングラスと短パンは変わらずも、ポロシャツの上に長袖のアウターを着用。裾出しはR&Aに認められなかったようだ

【2023】
「ここはハワイだよ」 J・J・スパーンの裾出し

PGAツアー「セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ」の2日目、J・J・スパーンがシャツの裾を出してプレー。ハワイの大会では特別に容認されているようで、賛否あったが本人は全く意に介さない様子だった

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週刊ゴルフダイジェスト2026年6月16日号より