【ゴルフで地域づくり】#3 柏ゴルフフェスタ実行委員会「“ローカルオープン”の挑戦。地域的、社会的イベントは進化する」
週刊ゴルフダイジェスト
ゴルフを通じた地域づくりの取り組みをしている、NITTAIクラブ横浜、小田原箱根商工会議所、そして、柏ゴルフフェスタ実行委員会をご紹介します。最後は、柏ゴルフフェスタ実行委員会の活動について。
PHOTO/NITTAIクラブ横浜、小田原箱根商工会議所、柏ゴルフフェスタ実行委員会、Tadashi Anezaki、Nakaya Nakai


実行委員会ゼネラルマネージャー
薬師寺輝さん
実行委員会会長を務めるのはゴルフキャスターの薬師寺広氏。輝(ひかる)氏は宏氏の息子さんだ。輝氏はイベントプロデューサーで、年間2試合程度に出場する競技ゴルファー(41歳・HC0・ゴルフ歴28年)でもある
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ゲーム性という
ゴルフの醍醐味を知ってほしい
第1回柏オープンが開催されたのは、コロナ禍の20年11月。その成り立ちは、16年に実行委員会が立ち上がったことから始まる。
「ゴルフに長く携わってきた父の、何か地域的な社会的なイベントを立ち上げたいという思いから始まりました。特にジュニアたちに還元できるイベントを行いたいと。チャリティのスクランブル大会を実施し、売り上げの一部をスナッグゴルフの道具に替え小学校に寄贈して回りました。ヤマト運輸さんが協賛してくれたんです」
こうして、形を変えて進化してきたのだ。柏市が舞台になった理由は、父の“第二の故郷”だから。
「父は岡山県出身ですが、柏に住んで40年近くになる。私の生まれ育った場所でもあります。練習場やショップ、周辺にゴルフ場が多くあり、ゴルフしやすい環境だということもきっかけでした」
イベントの協力依頼で動いていくなかで、「面白い」「一緒にやりましょう」と仲間の輪は広がる。徐々に「柏オープン」の輪郭が見えてきた矢先、コロナ禍はやってきた。イベントが軒並み中止に。スクランブル大会も20年8月は中止した。「でも、社会的にも少しずつ『何か新しい挑戦をしたい』という雰囲気も出てきて、皆が協力したいとも感じてくれていた。そして『今、やろう!』という場所に行きつきました」
開催コースはずっとお世話になってきた藤ヶ谷CC。柏市唯一の18ホールのコースだ。ヤマト運輸はもちろん、地元企業からも協賛金は集まった。「予選会を4会場で行い、地元出身の増田伸洋プロが同世代プロを中心に声をかけてくれた。ツアーも開催されておらず稲森佑貴プロなどトッププロも参戦、豪華な顔ぶれに。予選会にも170名くらい集まりました」

本選は10月20日に開催される。9番、18番の限定観戦チケットも販売中。千葉出身、佐藤信人プロも解説陣に加わる
ピンチのときに本気で動く者にこそ、流れはくる。
「コンセプトとして予選会をやることは大前提、もう1つは地元の選手たちをフィーチャーすること。普段はレッスンをしている地元のプロが同じ舞台で戦う姿を見せて応援してほしかった。練習場からの推薦選手枠も作りました。これは今も続いています」
まさにオープン競技の醍醐味である。そして、今年は予選会を5会場で行い400名近い参加者がある。徐々に浸透し広がってきた。
――プロもアマも年齢も性別も関係なく誰もが挑戦できる選手権、挑戦が尊重、尊敬され、夢を描く競技者たちを街を挙げて応援する参加型の選手権。
今年は、予選会に「障がい者ゴルフ選手権」を組み込み、より“インクルーシブ”な大会となる。
「どんな方も参加できる競技を増やしていくなかで、ある意味一番大きな取り組みになります。運営は手探りですが、日本障害者ゴルフ協会者さんと協力しながら」
「誰もが楽しめる」が実行委員会のコンセプト。「一応、ステップごとのピラミッド構造になっているんです」

根底にあるのは地域活性化だ。産業規模、立地的にも恵まれている柏市だからこそできることがある。「柏市のポテンシャルでどこまでの成功例を作れるかを示したかった。スポンサーが1社下りたらできなくなるのではなく、どうしたら地区オープンとして成立するかという挑戦でした。マネタイズは簡単ではない。今の時代に求められているサイズ感でできているのではないかと思っています」
実は次のステップとして頭のなかには大きな構想があるようだ。
薬師寺氏は、ゴルフの魅力はゲーム性にあると考えている。
「社交の場と考える方も多いでしょうけれど、ゲームをすることでより面白くなるし強くなれる」
誰もが挑戦できる本気の競技へ。ローカルオープンからゴルフの醍醐味は広がっていく。
「ハンディ戦、マッチプレー、スクランブル、何らかのゲームに参加すると目の前の1打を入れたら何かが生まれる体験ができます」

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週刊ゴルフダイジェスト2025年10月7日号より


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