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【キミこそ王子だ】Vol.356 よどみのない美スウィングの秘密は“アプローチ練習”にあった

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は兵庫県出身、神戸市立広陵中学校3年の赤穂未来さん。ボールをつかまえる力強さを持ちつつ、気持ちよく振り抜くスウィングに武市の目はくぎ付けに。どんな練習をしたのか!?

今回の王女候補

赤穂 未来さん

あこう・みらい ●主な戦歴/2025 ゴルフダイジェストジャパンジュニアカップ12~14歳の部優勝 ●ベストスコア/66(サンコーCC) ●練習/毎日2時間30分 220球 ●トレーニング/体幹トレーニング(週2回)


8月に行われた「ゴルフダイジェストジャパンジュニアカップ」。今回武市が注目したのが、女子12〜14歳の部で優勝を飾った赤穂未来さんだ。 

父親の影響で早々にゴルフを始めたという未来さん。

「4歳からクラブを握りましたが、小6くらいまでは正直楽しくありませんでした」

「どうして?」

「身長が低いこともあって飛ばなかったんです。同世代の子と回ると40ヤードぐらい差がありました」


現在も身長は153センチと比較的小柄だが姿勢が良いので大きく見える。さらにスウィングをするとより大きく見える。武市はその理由を「バランスのよさ」だと推測する。 

その土台となっているのがアプローチ練習で培った基礎だ。

「飛ばなかったので、飛ばしたいと思いましたが、『いまの筋力、体格に合った飛距離でいい』というのが父の教えでした。なので、無理に飛ばす練習はせず、アプローチやパターを重点的にやりました」

「どんな練習をしたの?」

「アプローチでも振り遅れないように体の正面で球をとらえることを意識していろんな球筋や距離を打ち分ける練習をしました」

実際にアプローチショットも見せてもらうと、「球のとらえ方がバツグン。男子のツアープロを見てるみたいだよ!」と感心の武市。

「ボクもそうだけど、小柄な子どもが安易に飛ばしを求めると、どうしても腕力や小手先を使いがちになる。その気持ちを抑えて体の正面で球をとらえるアプローチ練習で基礎を作った。それが今のバランスのよいスウィングにつながっているのかもね。

まず、バックスウィングで軸を前後にも左右にもブラさずパワーをしっかりと蓄積。そしてダウンスウィングで右足を踏ん張り体の正面で溜めたパワーを一気に解放し球をバシッととらえる。その結果、インパクトからフォローにかけて右足とクラブヘッドが引っ張り合う形となり遠心力が生きるといったイメージかな。パワーロスを防ぎながら、遠心力を味方につけたスウィングで、無理とムダがない。

とにかく、変な力みがまったくなく、本当に気持ちよさそうに振り切って、フィニッシュからの振り戻しの余韻もプロっぽい(笑)。体にも負担がなさそうだから故障も少ないと思う。めちゃくちゃいいスウィングだなぁ〜。未来ちゃんのポテンシャルもあるけど、無理に飛ばしを求めず基礎練習を徹底させたお父さんもアッパレ!」 



実は未来さんの父親はゴルフ用品関係の仕事をしている。その知識と環境を生かし、娘の成長に合わせ最適なクラブを渡したそうだ。

「クラブの専門家の視点だから間違いないよね。未来ちゃんの完成度の高いスウィングは、常に最適バランスの振りやすいクラブで練習したおかげもあるよね」

「父に感謝ですかね〜(笑)」

10月は予選会を突破したことで『日本女子オープン』に出場する未来さん。プロの舞台での活躍を期待する武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月7日号より