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【企業ゴルフ選士】Vol.21 東急リゾーツ&ステイ・久我努さん「会社を背負った団体戦、燃えないわけがありません」

戦うだけのゴルファーではなく、会社に認められ、選ばれたゴルファーである“企業ゴルフ選士”をクローズアップ。今回の選士は東急リゾーツ&ステイの久我努さん。

ORGANIZER/Hironori Kogure PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/那須国際CC


今週の選士

東急リゾーツ&ステイ
キャディマスター
久我 努さん


20歳でゴルフを始め、40歳手前までプロゴルファーを目指すも挫折。那須国際CCでキャディマスターを務める傍ら、運営会社である東急リゾーツ&ステイの代表として日経カップに出場する

東急リゾーツ&ステイ

東急不動産グループのリゾート運営企業として、ゴルフ場を国内で17施設運営しているほか、会員制ホテルの東急ハーヴェストクラブや東急ステイ、スキー場など、全国で100を超えるリゾート施設の運営を通じて豊かな時間と体験を提供する

那須国際CCの
絶対的スコアラー

ゴルフ場スタッフもまた勤め人。今回紹介する久我努さんは、東急リゾーツ&ステイ株式会社が運営する那須国際CCでキャディマスターを務める企業ゴルフ選士だ。

2007年に同社へ就職し、来場者の進行管理などに当たるなか、19年より同社から日経カップに出場。ゴルフ場の“何でも屋さん”に近い立ち位置であるキャディマスターは、プロや競技アマが従事することも少なくないが、久我さんは少し違う。

「20歳になるまでゴルフはやっていませんでした。とはいえ実家が練習場を経営していたことからゴルフに関わる仕事をしたい気持ちはあり、そこで働くことになったんです」

久我さんがゴルフを始めたのはその後。実家の練習場が所属していた練習場連盟で資格を取ればレッスン活動ができることを知り、ゴルフを開始。練習場連盟の資格取得に乗り出すと同時に、PGAのプロテストにも挑戦を始めた。

「練習場連盟の資格は取ることができたのですが、プロテストは30代終盤まで受けていました。2次予選までは進むことができましたが、その先へ行くことができませんでした」

わずか1ストロークに泣いたこともしばしば。年齢的に厳しくなってきたことに加え、レッスン活動も振るわなかったところ、那須国際から声が掛かった。

つらかった20年間
「競技はもういい」

「ここへ入ってからは、とにかく仕事を覚えるため、がむしゃらに働きました。正直言って『競技ゴルフはもういい』という心境でしたし、そこから2、3年はゴルフクラブを手にすることもありませんでした」

合格率は3〜5%。“東大合格より難しい”とも称される世界に10年以上にわたって身を置いたことで、どれだけ精神を削られてきたのだろう。久我さんは当時を「仕事が紛らわせてくれた部分は大きかった」と振り返る。状況が変わったのは、入社後2〜3年経ってから。営業終了後、同僚からラウンドに誘われたときのことだった。

「クラブを引っ張り出して、9ホールだけ回ったんです。『さすがに当たらないなぁ』というのが最初の感想でしたが、とにかく楽しかった」

そこからは「仕事終わりに時々」気が向いたらコースへ出るようになった久我さんは、PGAのティーチング資格を持つ兄に誘われ、栃木県プロゴルフ選手権にアマチュア枠で出場。なんとシニアアマの部で優勝することに。「そこそこ通用するんだな」とは思ったものの、競技の世界への気持ちが戻ることはなかった。

そんな久我さんは今、同社のエースとして日経カップへ出場し、「体が動く限りは出場したい」と語る。心境の変化について聞いた。

ゴルフ人生の
“下り坂”を楽しむ

「出場するのは日経カップだけで、個人戦に出る気はありません。なぜ競技を再開したのかというと、会社の名前を背負った団体戦というのがやる気にさせてくれるんです。とはいえ飛距離も落ちてきたし、現状維持が精いっぱい。若い人を見ながら『すっげぇ飛ぶ』と感心したり、『このプレッシャーを克服できなかったからダメだったんだな』なんて思いながら、何とか頑張っています。試合は7月頃から始まるので、仕事が一番忙しい時期と重なるのですが、手抜きはできません」

もう一つ。最近ゴルフ場の景色を美しく感じるようになり、同伴者のゴルフもよく見るようになった。

「最近いろんな人とラウンドするようになりましたが、上手な人も下手な人も、それこそ子どもからも気付かされることが多いんですよ」

上り坂はつらくても、下り坂はよく見える。久我さんはいま、下り坂を楽しんでいる。

久我努さんの14本セッティング

プロテストを諦めてから、クラブにこだわりがなくなったと久我さん。「とにかくやさしければやさしいほど好きです。アイアンのシャフトも去年まではSを使っていましたが、Rに替えてから良くなりました」

週刊ゴルフダイジェスト2025年1月21日号より