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【キミこそ王子だ】Vol.157 時松に続け! “桜美式”を体現する高校1年の九州男児

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は福岡県出身、沖学園高等学校1年の出利葉太一郎くん。ゴルフを始めた8歳から本誌でもおなじみの“桜美式”を実践しているというが、一体どんなスウィングの持ち主なのか?

今回の王子候補

出利葉 太一郎くん

いでりは・たいちろう ●主な戦歴/2017 九州ジュニアゴルフ選手権優勝 ●ベストスコア/67(久住高原GC)  ●練習/毎日4時間 ●トレーニング/体幹トレーニング


「いでりはさんという名前の人に生まれて初めて会ったわ」

「よくいわれます」

高校1年で身長180センチ以上ある出利葉くん。彼のスウィングは豪快だけどなめらかで、とても美しかった。

「もしかして、その斬新なグリップはウワサの“桜美式”?」

「はい。そうです」

父親の勧めで8歳から地元・福岡県にあるゴルフ道場「桜美ゴルフハウス」に通っている。主催の篠塚武久氏が提唱しているのは“桜美式”(「OSゴルフ理論」とも呼ばれ弊誌でも絶賛連載中)で、その特徴のひとつが、武市のいう“斬新なグリップ”だ。


「10フィンガーなんだけど、左手の親指を伸ばさないのが特徴だよね」

「はい。普通のグリップも試したことはあるのですが、左親指の付け根に負荷がかかって痛かったです」

右手と左手を絡めるグリップで、フェースを開閉して打つのが一般的だとすれば、右手と左手を個々に握り、フェースをねじらず打つのが“桜美式”の教えだ。

「出利葉くんは、さらに右手を下から握り、スウィング中、ずっと右手のひらが上を向いている状態を保っている。そして、そのままフェースローテーションなしで、横からドーンとボールを押してインパクトする。たしかに、どこにもねじれが生じず、クラブが一直線に下りてくるから効率的だよね」

意図的にフェースローテーションをして飛ばす武市とは、ある意味真逆だが、それだけに興味深い様子だ。

さらに、出利葉くんのパッティングスタイルも独特。グリップはもちろん、アドレスからストロークまで“桜美式”のパッティング理論でストロークする。左足を一歩引き、目標に対してかなりオープンに構え、フェースの向きを極力変えずにストロークする。インパクト後は、ヘッドが上に抜けていくので、左わきが開くのが特徴的だ。

「なんか、バカボンの“レレレのおじさん”を思い出す(笑) 。竹ぼうきでゴミを集めるとき、手を回転させる人いないじゃない。おじさんも左わきを開けて、ほうきを真っすぐ左右に動かしている。出利葉くんのパターもそんなイメージで、フェースのねじれがなく軌道が真っすぐ。だから、球の転がりがいいんだね」

彼が実践する“桜美式”ゴルフは一見、奇をてらった理論に思えるのだが、「動きはすべて理にかなっている。とくに、親指を絡めない10フィンガーグリップはケガをしにくいという点でもいいと思う」と武市はいう。

「身長も高いし、リズムもいいし、体の柔軟性もあるし、すごくいいもの持ってるね」

「ありがとうございます」

「今度、ボクとラウンドしてください!(笑)」

スウィングを見ていたら、ますます興味が湧き、一緒に回りた<なった武市。それほど魅力的な出利葉くんの今後に大注目だ!

週刊ゴルフダイジェスト2018年3月6日号より