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【オノマトペで上手くなる】<前編>「考えすぎ」を解消! リズムが良くなる魔法の言葉

数々のアイデアドリルや道具を使い、トップジュニアたちを育ててきた「桜美式」。今回使うのは「オノマトペ」。これを桜美式にアレンジして「言葉」を味方につける方法があるというので、さっそく篠塚武久コーチに話を聞いてみた。

PHOTO/Norimoto Asada、Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara

篠塚武久

しのづかたけひさ・福岡県出身。トップアマとして活躍後、“10フィンガー”が代名詞となる桜美ゴルフを立ち上げ、数々のトップ選手を育てる。現在は進化した“8フィンガー”を推奨。2018年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

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「“考えすぎ”を解決してくれます」

「擬音・擬態語」の総称をフランス語で「オノマトペ」と呼ぶ。

これをアレンジし、ジュニアたちを中心に上達に導いているのが、時松隆光、出利葉太一郎、後藤未有たちを輩出してきた桜美式ゴルフの篠塚武久コーチだ。

「今、うちで流行っているんですよ。オノマトペは、長嶋茂雄さんで有名になりました。本人のプレーのイメージを擬音語、擬態語にして、松井秀喜選手を指導するときに使ったりして。たとえば川が『サラサラ』や雨が『ザーザー』『シトシト』と言うと、細かく説明しなくてもすぐにイメージできます。こういったオノマトペをベースにして、まず自分が気持ちよくなる感じでやっていけばいい」

現在最強、パリ五輪金メダリストで年間王者の世界ランキング1位、スコッティ・シェフラーのスウィングを、“桜美式オノマトペ”で表すとこうなる。

「クラブよー、飛んでけー」

シェフラーに学ぶべきは、リズムやイメージ。「スウィングにおいて、グリップなどの“仕組み”は変えてもいいけれど、リズムを自分の意思で変えないようにすることが大事です」

「シェフラーって、クラブを遠くに投げる感じで振るでしょう。たぶん、本人はこんなことは言っていないんですけど(笑)、そう言いながら振るとシェフラーみたいなフォローが大きな動きになります。脳の働きで、イメージすると体はその通りに動く。結果、ボールも飛んで曲がらない。シェフラーのスウィングは独特ではありますし、なかなかマネはできません。でも、あの絶対に真っすぐしか行かないリズムとイメージは出せるんです」

感性を引き出すオノマトペ

ゴルフにもっとも大事なのは「リズム」だと篠塚氏。

「一流選手と一般ゴルファーの何が違うかというと、フォームだと言う人もいますけど、リズムです。リズムを自己管理できるかどうか。ゴルフ上達のため、教えてもらうことは大切ですけど、レッスンを受けるということは人から管理されるということ。それを自分自身でできるように管理する。自己管理できると自分で正しく練習できるし、ラウンドでどんな状況でも同じように打てます。リズムは考えすぎると狂います。だから刻み込む。そのためのオノマトペです」

リズムがいいからプロになれる。

「生まれつきではなく、自分で気が付いた人がリズムはよくなる。『あの人はこうだから』とトップの位置など形だけマネして変えたりするとリズムが崩れてスウィングは崩れます。考えなくていいんです、言葉で言ったらそうなるのだから。オノマトペは、ゴルフの“考えすぎ”を解決してくれ、再現性が高く、プレッシャーに強いスウィングにもなります」

また、オノマトペは、感性を引き出すという。

「人間の感性は計り知れない力です。みんな感性は持っているんです。それを自分の言葉で実行させる。たとえばサム・スニードは、高い球はどうやって打つかと聞かれたら、あの木を越そうと思って打っただけだと答えた。そんなことができるのが人間の感性のすごさ。それを距離測定器などが殺している部分もある。また、『プロゴルファー猿』や『オーイ! とんぼ』など漫画やアニメにもオノマトペは多く使われます。感性を生かして伝えていくから、見る側にはより現実的になるんでしょうね」

とんぼも感性が言葉に!

漫画でも多用されるオノマトペ。われらが「とんぼ」が、感性のプレーヤーであることがよく伝わってくる(「オーイ! とんぼ」第479話より ©かわさき健・古沢優/ゴルフダイジェスト社)

スウィングは2拍子がいい

では、桜美式オノマトペを具体的に見てみよう。

ポイントは、イメージできる言葉を乗せること、自分の頭に残る言葉にすること、気持ちいい・楽しい感じを言葉に入れること、スウィングリズムは2拍子にすることだ。すべてが擬態語、擬音語でなくてもいい。

「『ー』を入れることで、リズムが早くならず、ゆったり感が出る。『気持ちいいー』って言いながら打ってニコッとし、ティーを先に拾ってボールを見るくらいの余裕が欲しいですね。『さしすせそ』の『さ行』、『はひふへほ』の『は行』は動きがスムーズになりパワーが出ます。『打つ』という言葉は力みにつながるのでよくないですね。また最後に『ん』を付けると動きが詰まるんです」

昔から「チャー・シュー・メン」がよく知られているが、これは打ち急ぎになる言葉だという。

「まず、3拍子は早打ちになり、リズムが狂いがちなんです。スウィングには2拍子がいい。さらに言うと、リハーサルを入れた4拍子がいい。『イーチ、ニー』がワッグルで、『サーン、シー』が本番です。ワッグルという準備を入れることで動くための体の準備ができますし、スウィングの流れが止まらずスムーズになります。実例集(後編)を試してみてください。テークバックでは力まずゆっくり上げられて、インパクトからフォローは止まらずに大きくいく動きが出るでしょう。波でたとえると、スーッと引いて、ドーンと戻っていく感じです」

オノマトペを生かせる仕組み
「8フィンガー」

「『ボールを運ぶ』を実現できるグリップでもあります。グリップを挟むわけではなく、2本の指の間にグリップを当て手のひらで受ける。手のひらで打てる感覚が出るので運ぶイメージが出る。フェース面が変わらず方向性も安定し、腕も使わずねじらないので力がラクに出せます」

オノマトペを生かせる歩き
「ナンバ歩き」

「人間が動くときに一番使うのは足。足でリズムを考えます。右、左、右、左……同じほうの手足を出して歩く。スウィングも同じです。考えずにできるように日々歩くといい。スウィングでのテークバック、フォローの2拍子にもつながります」

>>「桜美式オノマトペ」実例集をチェック!

週刊ゴルフダイジェスト2024年10月1日号より