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【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.13 野球の神様はいるし、ゴルフの神様もいると思う

ひと通りのレッスンを受けた谷繁。8月の関東ミッドに向け「楽しくなってきた」と少年のような笑顔を見せる。その心は……。

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/六甲国際GC

谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラゴンズに移籍。14、15年はプレーイングマネジャー、16年は専任監督。通算3021試合出場は日本記録、捕手として2963試合出場は世界記録。ベストスコア67
青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長

前回のお話はこちら

野球の神様はいるし
ゴルフの神様もいると思う

青木 ここまで、ドライバー、アイアン、アプローチ、パットとレッスンをしてきました。日本ミッドアマを狙おうとする腕前ながら、ほとんど我流でやってこられたというのには驚きました。見て盗むにもほどがあります(笑)。

谷繁 「なるほどなあ」がめっちゃ多かったですね。とにかく、知らないことだらけだった。野球だと、まったく知らないことってそれほど多くないから。

青木 そうですよね。でもゴルフだと、まだまだ開いていない扉、開けていない引き出しがあるでしょう。

谷繁 いや、最初にグリップを直されたときは驚きましたよ。「そこから?」って。ずっと、自分の握りやすいやり方でやってきて、ラバー部分を手で全部覆うのはむしろ避けてきたくらいでした。だから、最初はすごい違和感。でも、これでまでのやり方では日本ミッドアマに出場できていないわけだから

青木 「何か変えないと」という思いはあったんですよね。

谷繁 そう、違和感があるっていうのは変われるチャンスなんですよね。で、しばらくそのグリップで打っていたら馴染んできて。これは続けていこうと思いました。パットの際のフォローを短くというのは、最初から違和感がありませんでした。「あ、タイガーのフォローだ」って納得できましたし。

青木 あと、ドライバーはスウィングプレーンが左を向きすぎていたから、それを調整。クラブは大げさなくらい内側から入れる。谷繁さんは器用だからつい手先で調整しようとしてしまっていた。

谷繁 あとはアライメントの取り方は、ほとんどスタンスで決まっているなんてね。スタンス幅を広げたり狭めたり。

青木 前に出たり下がったり。

谷繁 いかに打つ前が大事なのかわかりました。準備の大切さ。

青木 谷繁さんが準備を怠って受験に失敗した話まで……。

谷繁 その話はもう、掘り返さなくていいですよ(笑)。

青木 それにしても今回のレッスンはかなりレベルが高かった。僕が普段、選手たちに教えているようなことをお伝えしました。プロゴルファーが何気なくやっていること、その“裏”を谷繁さんには知っていただきました。

努力する人を
“神様”は見ている

谷繁 あとは練習あるのみ。継続です。

青木 そうそう、さっきゴルフダイジェストの担当さんから聞いたんですけど、ある大会の日、谷繁さんが夜明け前から練習をしていて驚いたって。あと、寒い中、練習場で使ったウェッジを水洗いしているのにも驚いたって言っていました。

谷繁 雨にちょっとでも濡れたら、自宅でバッグの中身を全部出し、拭き上げて乾かします。

青木 素晴らしいです。

谷繁 それはもう野球のときから染みついているんですよ。トップ選手で道具を粗末に扱う人なんて見たことありません。この間、元阪神の矢野燿大さんも言っていましたが、負け試合で悔しくて悔しくて仕方ないなか、ミットにオイルを塗って手入れするのは欠かさなかったとか。僕ももちろんそうでした。

青木 道具を大事にする、練習をしっかりする。ゴルフも野球も同じですよね。

谷繁 野球で練習といって思い出すのが、広島の新井貴浩監督かな。もともとバッティングは器用なタイプじゃなくて、練習を重ねてレギュラーポジションを取った。熱狂的なファンを持つ、広島、阪神の2球団で4番を務めた選手です。彼こそ努力のかたまり。阪神を自由契約になって広島に戻って、2016年に打率3割、100打点。25年ぶりの優勝のMVP。しかも、故郷のチーム・広島で三連覇。努力する人を神様は見ている、野球の神様はいるというのは、新井君を見て思いましたね。

青木 ゴルフの神様もきっと谷繁さんを見ていますよ。

谷繁 そうですね。やっぱり努力。神様は、前田智徳もだけれど、僕のほうも見てほしい(笑)。前田智徳のように、詰まってもヒットにする技術を僕にもください(笑)。

青木 あ、神頼みしだした! でも、今回のアプローチレッスンで、グリーンを外した際の対処法の引き出しが随分増えたじゃないですか。

谷繁 そうか「詰まってもヒット」は、「グリーンを外してもアプローチでリカバー」というのと同じだ。何かね、自分の引き出しが増えていくのがわかるから楽しいのよ、ゴルフが。楽しくないと上手くならないよね。関東ミッドアマに向けワクワクし始めている自分がいます。

青木 いいですね。この調子で次のレッスンまでにしっかり復習をしてください。「競技ゴルファータニシゲ」の連載はしばらくお休みしますが、さらにパワーアップし、本番に向けピークを合わせてくるであろう谷繁さんをお楽しみに。

1月、夜が明けきれない時間からレンジにいた谷繁。コースに向かう仲間を横目に、使ったウェッジを水洗いし乾拭き。「え、当然だよ」とサラリ

週刊ゴルフダイジェスト2024年6月18日号より

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