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【キミこそ王子だ】Vol.231 関西チャンプの女子中学生! 美しい打球音の秘密はコツコツ重ねた地味練にあった

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、神戸市立港島学園中学部2年の鳥居さくらさん。取材現場に着くやいなや武市は、彼女の打球音のよさに魅了され、いつも練習している場所を聞いてさらに関心を寄せた。

今回の王女候補

鳥居 さくらさん

とりい・さくら ●主な戦歴/2020関西中学校ゴルフ選手権優勝 ●ベストスコア 69(宝塚GC旧コース) ●トレーニング/毎朝 : 腹筋30×2回、背筋30×2回、腕立て50回、ストレッチ15分、週2~3回 : キックボクシンク ●練習/毎日3ヤードアプローチ&パター(2時間)


11月に開催された「関西中学校ゴルフ選手権」で優勝した鳥居さくらさん。彼女と待ち合わせをしたのは、とあるゴルフ場の練習場。

そこへ向かう途中、武市はある心地のよい音に心を惹かれた。近づくと、発信源がさくらさんであることがわかった。

「いや、すごくいい打球音が聞こえてくるなーと思ったら、キミだったか!」

挨拶も早々に、武市が感動を伝えると「ありがとうございます」と人懐っこい笑顔で応えてくれた。

そんなさくらさんが、両親の影響でゴルフを始めたのは小学1年。

しかし、練習環境は決して恵まれてはいなかった。家から比較的近い練習場は、ボール代が高いため、球数をこなせる練習場に行くには車の送迎が必要であった。しかし、両親は飲食店を営んでいるため、夕方や夜は時間が取れない。

定休日も日曜だけなので、ラウンドに行くのもそう簡単ではなかったという。

では、どうやってここまで上達したのか!?

話を聞いてみると、彼女は意外な場所で練習を重ねていた。

それは、両親が働く飲食店のバックヤード。

決して広くはないし、他店との共同スペースのため、占拠するわけにもいかない。彼女は小学校から現在まで、バックヤードの片隅でアプローチとパターの練習を重ね、基礎を固めた。

さらに、今年から、渋野日向子プロのコーチで有名な青木翔コーチに教えてもらう機会があり、ひと皮むけた。

「青木コーチには、どんなアドバイスをもらったの?」

「とにかく、右、左それぞれ片手打ちをやりなさいといわれます」

くわしく教えてもらうと…..、左手は、アドレスでグリップエンドを左の股関節に向け、その角度を崩さないよう、体の回転で打つ。右手は手首を甲の角度を崩さないまま打つ。そして、最後に、両手で打つ。という内容だ。

その効果について武市は次のように説明した。

「クラブは重いから、片手だと腹筋、背筋を使わないと振れない。だから、小手先ではなく体幹を使ったスウイングを身につけるには最適な練習方法だね。あと、最初に手首やクラブの角度を決めて崩さず振るのもポイント。それが再現性の高いスウィングにつながってくる。地味でつまらない練習だけど、さくらちゃんはコツコツがんばれるタイプだと思うから、この練習が合っているよね」

「これからもがんばります」

「練習の成果かな? ホント体幹がしっかりしているよね。何か、ほかのトレーニングもしてるの?」

「部活でバドミントンを少々と、キックボクシングもやってます」

「いいね! 肩幅も広いから、今後、背中の大きな筋肉を生かせるようになったら、距離ももっと出るしね。今後楽しみな選手」

まだまだ粗削りなところはあるが「素質は十二分!」と期待を寄せる武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2020年12月29日号より