【キミこそ王子だ】Vol.331 高弾道で曲がらない! 礼節を重んじる九州男児
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は、福岡県出身、東福岡高等学校2年の吉永匡一郎くんだ。プロのような高弾道ショットで、上からズドン! とピンを攻める。そんなプレースタイルに武市の視線は釘付けに!
今回の王子候補
吉永匡一郎くん
よしなが・きょういちろう ●主な戦歴/2024全国高等学校ゴルフ選手権 春季大会5位タイ ●ベストスコア/66(あつまる阿蘇赤水GC) ●練習/1日2時間250球 ●トレーニング/毎朝砂浜をランニング、階段ダッシュ。週2~3回ジム。
ある大会の練習日にお邪魔した武市一行。
そこで直撃したのは吉永匡一郎くん。小4のときに石川遼プロのDVDを見てカッコイイと思い、自分から「ゴルフをやりたい」と親にお願いしたという。以来、コーチの平井一也プロとともに高みを目指し頑張っている。
「めちゃくちゃ飛びそうな体格だね」
と羨ましそうな武市に対し
「いや、見た目ほど飛ばないんです(笑)」と謙遜する匡一郎くん。
しかし、実際に球を打ってもらうと、ドライバーは280ヤードは飛んでいる。
「いやいや、これで飛ぶほうじゃないなんて、今の高校生のレベルはスゴイ!」
「そうなんです。みんな本当によく飛びます」
「匡一郎くんならではの“チャームポイント”もあるよね。それは、高弾道で曲がりの少ない球!」
ドライバーの球筋はストレートフェード。弾道はアイアンで打ったかと思うくらい高く滞空時間も長めだ。
「スウィングで特徴的なのがダウンスウィングからインパクト、さらにフォローに向かうまで左ひじがずっと下を向いたままなこと。そうすると、クラブが自然なアッパー軌道になるからフェースが開いていないのに高弾道になる。もうひとつの特徴が、ダウンスウィングでの右ひじをリリースするタイミングが少しだけ早めなこと。極端に言うと、フェースが真っすぐになるのが体の正面ではなく右足の前に下りてきたときくらい。結果、インパクトゾーンが長く、ヘッドの入射角も緩やかになるのでバックスピン量が減り曲がりも少ない。高弾道なのに曲がらない球ということは、狭いフェアウェイも怖くないし、ピンをデッドに攻められるからいいよね」
プロになったらバーディ数が多いエキサイティングなゴルフを見せてくれそうだ。
「高校卒業後は大学進学を考えていますが、将来は世界で活躍し、みんなから応援されるプロになりたいです」と夢を語ってくれた匡一郎くん。
応援されるには、当然、強さだけでなく人間性も重要。ということで技術だけでなく、人格も磨いている最中なんだとか。
「今のジュニアは本当に意識が高いよね。魅力的な人間になるために、何か心掛けていることはある
の?」
「礼儀やマナー、挨拶はしっかりしようと意識しています」
「質問にも笑顔で答えてくれる匡一郎くんは好感度大だわ」
「ありがとうございます。あと、尊敬する大谷翔平選手を見習って、毎年、お正月に“目標達成シー
ト”を作成しています」
「マスに目標達成のために必要な要素を書いていくやつね。例えばどんなことを?」
「『お手伝い』『ゴミ拾い』『毎朝走る』とか……です」
「エライ! 勝負の神様は細部に宿る(byサッカー元日本代表監督・岡田武史さん)だよね」
そんな匡一郎くんに、ゴルフの神様はいつかきっとほほ笑んでくれるだろう。
週刊ゴルフダイジェスト2024年8月13日号より