【キミこそ王子だ】Vol.327 ブレない軸で再現性が極めて高い! 中部を制した女子高生
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は岐阜県出身、帝京大可児高等学校3年の日比野邑香さんだ。独自の感性で、再現性の高いスウィングを構築。今年「中部女子アマ」を制した。そんな同郷の逸材に武市は興味津々!
今回の王女候補
日比野邑香さん
ひびの・ゆうか ●主な戦歴/2024中部女子アマチュア選手権優勝 ●ベストスコア/67(愛岐CC) ●トレーニング/毎日坂道ダッシュ10本、週1体幹トレーニング ●練習/毎日70分100球以上、パッティング30分以上
先日行われた「中部女子アマチュアゴルフ選手権」で優勝した日比野邑香さんは、兄の影響を受け7歳のときにゴルフを始めた。
「高3だとジュニアというより、大人のスウィングに近いね」
邑香さんの練習姿を見た瞬間、武市はつぶやいた。
これまで数人のコーチに教えてもらい、その都度自分に合ったアドバイスを取り入れて、現在のスウィングを構築したという。
「なるほど~。邑香ちゃんは“しっくりくる”と“しっくりこない”をちゃんと感じられるんだね。いくら正論でも、自分にとって違和感があれば、続けられないからね」と感心する武市。
球筋はナチュラルなドロー。めちゃくちゃ飛ばすタイプではないが、再現性が高く安定感バツグンだ。
「上手に球をつかまえているけど、スウィングで一番気を付けているところはどこ?」
「クラブヘッドの先端が常に上を向いているようにしています」
「クラブの先端、つまりトウが地面を向かないように振るのは、ボールをつかまえる要素の基本中の基本。でも、上級者になればなるほど考え過ぎて、その基本を忘れがちなんだね。その点、邑香ちゃんは余計なことを考えてない。いやいや、決して何も考えないわけではなく、むしろよ~く考えている。よ~く考えた結果、基本を忠実に守ることに徹している。そんな感じがするんだけど……どう?」
「いや、どうでしょう(笑)」
「もちろん、小手先でやるとボールがつかまり過ぎてしまうし、ヘッドスピードも上がらない。球を遠くへ飛ばすには、体の回転も重要だよね」
「はい。軸ブレしないように気を付けながら、体はしっかり回転するようにしています」
「バックスウィングで左ひざが内側に入りすぎないように踏んばってる感じがあるよね。もうそこで、体の軸は保たれたようなもの。あとは、気持ちよく振るだけだからシンプル。だからスウィングの再現性が高い」
クラブ選びにおいても、自分なりの“しっくり”ポイントがあるようだ。
「いろんなブランドのクラブが入っているよね」
キャディバッグをのぞいた武市が少々驚いた様子で尋ねた。
「ブランドにはこだわらず、使ってみていいと思ったものをセッティングしています」
「グリップもバラバラなんだね(笑)。ボクは同じ感覚で振りたいからグリップは統一したいタイプ。だからちょっとビックリ」
「特には気になりません(笑)」
今年プロテストを受ける予定の邑香さん。同時に大学進学も見据えている。
「今は“大学生プロ”も少なくありませんし、視野を広げいろんなことにチャレンジしていきたいです」
「邑香ちゃんは素晴らしい感性の持ち主。そして、それを信じ行動する姿がカッコイイ!」
年下ながら憧れを抱く武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2024年6月18日号より