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【対談】葛西紀明×かわさき健<前編>「50歳を過ぎてもまだまだ表彰台に上がりたい!」レジェンドの思考法に迫る

還暦まで現役を続けるというスキージャンプの葛西紀明さん。オリンピック8回出場を誇るレジェンドが今も第一線で活躍できる理由は強靭な体力だけではない。その裏にあるのは「思考力」の違いだ。長く現役で活躍し続けるヒントを、「オーイ! とんぼ」の原作者・かわさき健さんが聞き出した。

TEXT/Toshiaki Muraki PHOTO/Getty Images THANKS/小樽CC、土屋ホーム

葛西紀明(右) 1972年生まれ。1992年にオリンピック代表に初選出、計8大会に出場。2014年のソチ五輪では個人銀、団体銅の2つのメダルを獲得。W杯569回出場も圧倒的世界記録。土屋ホームスキー選手兼監督を務める
かわさき健(左) 1967年生まれ。2014年に連載開始、2024年にはアニメ化が決定している「オーイ!とんぼ」の原作者。ゴルフ場研修生の経験を生かし、技術や人間模様に深く切り込む物語にはゴルファーのみならずファンが多い

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大歓声を浴びる姿を“イメージ”
それを強い動機付けにする

かわさき あと10年、還暦まで飛ぶとおっしゃってますよね。

葛西 実は(還暦より)もうちょっとできるんじゃないかなと。チームの20代前半の若い選手と一緒にトレーニングしたりキャンプしたりするんですけど、負けないんですよ。僕のほうが動いているぐらい。だから、まだできるんじゃないかって思っちゃうんです。

かわさき 確かに今日ゴルフご一緒しましたけど、走るし、若い。

葛西 50歳になったからといってメニューもまったく変えずに取り組んでいますし、今は楽しくてしょうがないですね。競技で自分が表彰台に上ったりするのは快感ですし、それを応援してくれる声援も気持ちいいし、それに応えたい。海外で「KASAI!」の声援をもう一度聞きたいんですよ。

「KASAI!」の大歓声にやる気が湧き立つ

世界の舞台での大歓声を浴びることが飛び続ける強い動機だと葛西さん。「通常は自国の選手にだけ声援。でも僕が飛ぶときは全員が大歓声。“よっしゃー!”って感じです」

かわさき なるほど。葛西さんって、もう一回大舞台の表彰台に立って歓声を聞きたいという“動機”が一番最初に来ているんですね。才能とか、環境とか、体とかよりも前に動機がある。そのあとに才能とか環境がついてくる、という感じなんでしょうね。目標はオリンピックであり金メダル?

葛西 はい、それはブレずに。

かわさき それも動機ですよね。普通はこの年齢になると、体力的にちょっと厳しいかな、って思うじゃないですか。でも逆ですもん。「体力的にも若いやつに負けない」。そこがクリアになっているのがすごい。本当に60過ぎまで飛びそう。まだ10年以上楽しませてもらえますね。

葛西 40歳になった頃から、急にヨーロッパで応援してくれる人が増えて、歓声が変わったんです。30代後半ぐらいはちょっとバカにしたような感じだったんですよ。いい成績でも、「まだやってんのか」みたいな。でも40歳を超えてメダル取ったり、W杯で勝ったりすると逆にリスペクトされて。僕が飛ぶときに誰よりも歓声が大きくなるし、最高に気持ちいいんですよ。心からの応援だなぁって感じたら「もっと活躍したい」って思って。で、50歳になって、海外で戦ったらどうなるのかなと。その期待が今、自分の中にあります。

かわさき ゴルフでもベテランが若者を打ち負かす姿は痛快ですもんね。60歳で葛西さんが表彰台に上ったら、世界的にすごい騒ぎになりそう。でも還暦過ぎてもなんて…。自分に“リミッターをかけない”思考がすごいですね。

スランプになると“動機”が失われやすい
「メンタルコーチがスランプのジャスティン・ローズに“何でゴルフをやっているのか”と問うも答えられなかった。ゴルフが好きだから、という動機を見失わなければスランプは回避できたかも」(かわさき)

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週刊ゴルフダイジェスト2023年12月19日号より

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