【キミこそ王子だ】Vol.308 夢はカッコいいクルマに乗ること!? 長身から繰り出すビッグボールが武器の中部チャンプ
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、三重県出身、鈴鹿市立白子中学校3年、平山心暖さんだ。高身長から放たれるビッグボールを武器に今年の夏、中部を制したそのスウィングを武市が解説する。
今回の王女候補
平山 心暖さん
ひらやま・こころ ●主な戦歴/2023中部ジュニアゴルフ選手権優勝 ●ベストスコア 70(東名古屋CC) ●トレーニング/週1回体幹トレーニング1時間30分 ●練習/毎日1時間30分150球
「取材に来てくださって本当にうれしいです」
武市に笑顔で語ってくれたのは平山心暖さん。小1のとき、祖父に練習場に連れて行ってもらったことがきっかけでゴルフ道に進む。小3から中1まで人一倍練習した。
「あのころは平日は500球、休日は1000球近く打っていました」
「練習が好きだったの?」
「本当は友達と遊びたかったですが、球を打てば打つほど上手くなると思っていました。いま思えば、強迫観念に駆られて打っていた感じです」
練習量の割に成績が出ず、ゴルフを投げ出したい時期もあったが、「今はとても楽しい」という心暖さん。
「新しいコーチと出会い、手打ち気味だったスウィングを改造しました。練習量を適量にして徐々に結果が出るようになって、先日『中部ジュニアゴルフ選手権』で優勝できました。そうしたら、この取材の連絡がきたんです。だから本当にうれしくて」
心の霧が晴れた心暖さんの表情は明るい。
以前の持ち球はドローだったそうだが、スウィング改造で現在はフェードに。高身長(170センチ)から打ち放たれるボールは迫力満点! 飛距離も出るしチャンプの名に恥じないスウィングだ。
「恵まれた体格を生かしたいいスウィングだね」
「ありがとうございます」
「まずもってグリップがキレイ。そして、フェース面をネジることなく体の内側へ振り抜くようにして打つのが特徴。インパクトで左腰が開かず体のほぼ正面でヒットしているし、球が極端に曲がる要素がないから安定したフェードになるよね」
「以前は腰を回転させると、インパクトで手元が浮いてミスショットすることがありましたが、今は切り返しで、一拍“間”を取って、体の正面で打つことを意識しています」
「さすがわかってるね~。フェース面をコネず体の正面で打てば、球は曲がらないよね。ただ、それだとヘッドが走らないから、普通は飛距離が出ない。だから、スウィング中にフェース面を返す動きを入れたくなるけど、失敗すると大きなミスにつながってしまう。そこがゴルフの難しいところだよね。でも心暖ちゃんは身長が高いから、上から振り下ろす落下速度を利用できるため、フェースを返す量を極力減らしても飛距離は出せる。『恵まれた体格+曲がらないスウィング=最強ビッグボール』。心暖ちゃんは、まさにそんな感じのまだまだ伸びしろ満載のスウィングかな」
将来の目標は、世界のメジャー大会で優勝。そして夢はかっこいいスポーツカーに乗ることだそう。
「ポルシェだけどカイエンですね。キャディバッグを積むから(笑)」
「夢が叶ったら助手席に乗せて」
「がんばります!」
ポルシェを颯爽と運転する心暖さんを早く見てみたい。
週刊ゴルフダイジェスト2023年9月5日号より