【キミこそ王子だ】Vol.56 古江彩佳「アプローチからドライバーまで! 安定感バツグンのゆるやかブロー」
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、神戸市に住む中学3年生、古江彩佳さん。3歳でゴルフを始めた彼女は、昨年大飛躍。数々の試合で好成績を収め、その名が全国区に。強さの秘訣は何なのか、武市が直撃!
今回の王女候補
古江 彩佳さん
ふるえ・あやか ●主な戦歴/2015全国中学校ゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア 66(アオノGC) ●トレーニング/体幹を1日90分 ●練習/毎日1時間200球
2015年は「全国中学校ゴルフ選手権」「関西中学校選手権」などの試合で優勝した古江さん(長田中学)。
「強いねー。イ・ボミプロもびっくりの勝率じゃない」
「いえいえ。憧れのイ・ボミさんに追いつくにはまだまだです」
イ・ボミプロのようになりたいという女子ジュニア選手は本当に多い。古江さんも、そのうちのひとりで「シンプルなスウィングと、何があっても怒らない冷静さ」に対し尊敬の念を抱いている。
毎日の練習は1時間200球。
「間髪人れず、ポンポン打つんだね」
「通っている練習場の料金が1時間500円なので、時間内にできるだけたくさん打ちたいと思って……。でも、ほとんどアプローチです」
練習の成果は出ているようで、武市も古江さんのアプローチショットに注目した。
「何か意識していることはある?」
「打ち急がないよう、リズムを大切にしています」
「たしかに、打ち急ぐと体が突っこんだりして、ヘッドの入射角がまちまちになる。でも、リズムを保ち腕が体の正面から外れない彩佳ちゃんは、ヘッドがボールの手前からゆるやかな角度でつねに入ってくるのが特徴だね」
古江さんのヘッド軌道をアルファベットであらわすと「V」ではなく「L」だと言う。
「彩佳ちゃんは、ダウンで腕を下ろしたあとは、カラダの回転で打っている。上から打ち込むタイプと違い、ソールが滑るように入るから、クラブなりのロフト角で当たる。よって、ボールがほどよいスピン量で飛び、横のネジれが少ないのが最大の特徴。打点もズレず、キャリーもランも正確だからクでらク距離感が合うよね。きっと、10センチ単位で打ち分けられるんじゃない?」
「いや、そんな無理です(笑)」
とあくまで控えめな古江さんだが、彼女のような打ち方なら、アプローチで感じを出しすぎてショートしたりトップしたりすることは、まずないだろう。
しかし、入射角がゆるやかということは、アイアンショットでは球がそれほど上がらないのでは? という疑問が湧いてくる。
それに対し武市は、「ノープロブレム! いまどきのクラブは低重心だから、ロフト角どおりに打てれば、十分高い球は打てる」という。
古江さんはアプローチだけでなく、ドライバーも同じような打ち方をする。小柄な体型ながら飛距離が出るのは、「ヘッドの入射角がゆるやかだと、吹き上がることなく、ランが稼げるから」という。
「将来はプロを目指しているの?」
「はい! いまは金銭面から送り迎えまで両親に頼り切りなので、早くプロになってお返ししたいです」
「ええ子だわー(涙)」
いまはまだ中学生だが、数年後どんなゴルファーになっているのか楽しみだ。
週刊ゴルフダイジェスト2016年1月26日号より