【キミこそ王子だ】Vol.301 超柔らかグリップでクラブに仕事をさせる。プロテスト合格を目指す高3女子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は大阪府出身、好文学園女子高等学校3年、角江愛梨さんだ。春に行われた全国大会で2位タイとなり注目を集めている彼女の特徴は究極に柔らかいグリップ。その効果は!?
今回の王女候補
角江 愛梨さん
すみえ・あいり ●主な戦歴/2023 全国高等学校ゴルフ選手権春季大会 2位タイ ●ベストスコア65(宝塚GC新コース) ●トレーニング/週2~3回 1時間 ●練習/毎日120~300球 2時間くらい
小学校1年でゴルフを始めた愛梨さん。球を打つのがとにかく大好きで、止められるまで何時間でも練習してしまうのだとか。
その努力が実り、高校生になると才能が開花。昨年「関西ジュニアゴルフ選手権」で優勝、そして今年は「全国高等学校ゴルフ選手権」で2位タイと好成績を収めている。現在、平塚哲二プロがプロデュースするスクールで“平塚メソッド”を習得中だ。
そんな彼女は、しなやかなスウィングの持ち主。体に一切、力みがないのでとても再現性が高い。
武市はまず、愛梨さんがクラブを長く持つ点に注目。ドライバーからウェッジまで、すべて左手はグリップエンドのギリギリを握っている。
「スウィングの主役はクラブと自分のどっち?」
変わった質問をする武市に、「クラブです」と即答。
「グリップは長く握れば握るほど、シャフトが柔らかく使える。クラブに仕事をさせたいという気持ちが表れているね」
「手や体がなるべくクラブの動きを邪魔しないようにしています」
「確かに、グリッププレッシャーもめちゃくちゃ柔らかそう」
試しに、グリップを握る感覚で武市の手を握ってもらうと、その柔らかさに驚愕!
「グリッププレッシャーを0から10で表すと1だね。ボクも柔らかいほうだけど、3ぐらい。愛梨ちゃんは、本当に柔らかい。スウィング中、ずっとその柔らかさ?」
「はい」
「インパクトでギュッと握って、ヘッドを走らせるとか、そういう感覚は一切ないんだね」
究極に手を使わないスウィングに感心する武市。
「ジュニアや女性は力がないから、グリップをギュッと握ってしまいがち。でも、彼女は握った小鳥が逃げそうなくらい柔らかく握っている。もうひとつの特徴がバックスウィングで左手を掌屈(手首を手のひら側に折る)させ、インサイドに上げることなんだけど、別に流行りのレイドオフを目指しているわけではない。体を少し左に傾けつつ、左手を掌屈させれば、重たいクラブも手や腕の力を使わずに上げられるからね。とにかく、スウィング中はクラブが主体で、自分は脇役という配役が一度も入れ替わらない。曲がらないし、シャフトを長く使うことで、最小限の力で最大限の飛距離を出している。すごく効率のいいスウィングだね」
「ありがとうございます。オフに友達とショッピングをするのも楽しいですが、やっぱりゴルフしているときが一番幸せです」
「“オフ”って表現が、すでにプロっぽいね(笑)」
現在、高3の愛梨さんは、今年プロテストを受ける予定だ。
憧れているのは、笑顔が素敵な西村優菜プロ。
「プロになったら、賞金女王を目指してがんばりたいです」
「スウィングは体にも負担が少なそうだし、きっと息の長い選手になってくれるはず!」とエールを送る武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2023年6月20日号より