【キミこそ王子だ】Vol.294 中学で親元を離れて宮崎に来た九州チャンプ!左利きを活かした曲がらないスウィング
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は宮崎県・日章学園シリーズ第3弾。兵庫県出身、日章学園中学校2年の岡村昂汰くんだ。「九州ジュニア」を制した逸材の特徴は、とにかく曲がらない球。その秘訣を武市が解説!
今回の王子候補
岡村 昴汰くん
おかむら・こうた ●主な戦歴/2022 九州ジュニアゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア 62(つるやCC) ●トレーニング/週3回、体幹トレーニング ●練習/毎日9Hのラウンド、パター練習30分
昂汰くんがゴルフと出合ったのは、小学校1年。ゴルフが大好きな父親を見て、自ら「やってみたい!」とお願いしたのがキッカケだ。
ゴルフ道を歩むため、中学は兵庫県の親元を離れ、宮崎県のゴルフ部の名門・日章学園に入学。ゴルフ漬けの日々を送っている。
そんな昂汰くんの持ち味は、とにかく球が曲がらないこと。得意なドライバーの飛距離は280ヤード。軽いフェードで確実にフェアウェイをとらえる正確さは強豪がそろうゴルフ部員の中でも一・二を争う。
「本当に曲がらないね!」
放課後、昂汰くんのラウンド練習に帯同した武市は感心しきりだ。
「以前はドローヒッターでした。でも、日章学園に入り頭を動かさないように打つ練習をしたら、徐々にフェードが打てるようになり曲がらないようになりました」
「それは正解だね!」
武市は賛同した。
昂汰くんは右打ちだが、取材の合間に(後日掲載誌を送付するため)住所を書いてもらうと本当は左利きであることが判明した。
武市はそこに注目しつつ、彼のスウィングを次のように解説した。
「昂汰くんのスウィングの特徴は、ボールを左サイドにセットし頭を動かさず、クラブを上から下、つまり若干アウトサイドイン軌道で振ること。クラブは重力を利用し、上から下に振るほうが素直なので下から上に振り上げるよりも断然曲がりは少ない。それに左利きでしょ。左利きは、もともと意識が左手にあるから、右手で上から叩きすぎて右サイドが突っ込むことが少ないんだよね。昂汰くんも然り。左手で上手くクラブをリードし、安定したスウィング軌道を描いている。曲がらないのは、そういった理由かな。以前は、上から下にクラブを振るとバックスピン量が増え、吹き上がる懸念があったけど、最近のクラブは低スピン設計だから、その心配もないしね。自分の特徴、そして今のクラブに合ったスウィングだと思う。だから気持ちよさそうに振っているよね」と称賛した。
さらに、昂汰くんで見逃せないのがベストスコア62という数字。
「62はなかなかいないよ」
「このときはパターが入りまくりラッキーでした」
「いや、実力でしょ。スウィングも素晴らしいけど、今日、ラウンド練習に帯同させてもらって印象に残っているのは、淡々としたプレースタイル。スウィングもルーティンも所作すべてシンプルでいいよね」
「ラウンド中、スウィングをあれこれ考えてもいいことがないので、シンプルが一番と思っています」
「ボクもそう思う。いろんなことをシンプルにすれば、その分、コースマネジメントに集中できるからね。62が出せたのは運じゃなくて、そういうことも含めた実力だよ」
「ありがとうございます」
昂汰くんの将来の夢は、周りから見本となるようなプロになること。もちろん世界進出も視野に入れている。それを聞いて武市は「期待しかない!」と応援の言葉を送った。
週刊ゴルフダイジェスト2023年3月7・14日合併号より