黒人初! USGA会長にバハマ出身のフレッド・パーパル氏が選出。条件は“ゴルフを愛していること”
1894年に設立されたUSGA(全米ゴルフ協会)だが、その歴史のなかで初めての人事が先日行われた。
現会長であるスチュアート・フランシス氏の任期満了の後を継ぐ第67代会長に指名されたのはフレッド・パーパル氏。正式には2月に開催される同協会年次総会まで待つ必要はあるが、選出されるのは確実とされている。
パーパル氏は47歳、同協会の130年近い歴史のなかで、初めてその地位に就く黒人となる。
バハマ出身、テキサス大学アーリントン校でバスケットボールと陸上競技をプレーし、バハマ代表まで上り詰めたという。
同協会では2019年から会長が選出した執行委員会に所属し、最近ではチャンピオンシップ委員会の委員長を務め、今夏開催された第1回アダプティブオープンを立ち上げた。この障害者競技を同協会では全米オープンなどと並ぶ15番目の選手権と位置づけようとしていて、日本からも3人が出場している。
- 7月に行われた全米ゴルフ協会(USGA)主催の障害者ゴルフ大会「アダプティブオープン」。世界11カ国から96人が参加した。2028年のロサンゼルスパラリンピックで正式種目入りを目指す“前哨戦”を追った。 PHOTO/Yasuo Masuda(JDGAオフィシャルカメラマン) >>明るい笑顔に驚異のスウィング!大会の写真はこちら 「この大会を行うこ……
話はそれたが、ともかくパーパル氏は会長に指名されるに十分なキャリアがあったといえる。
この経緯を、同協会でレフェリーを長く務め、その活動を顕彰され、米国人以外で初のジョー・ダイ賞を受賞した川田太三氏は次のように話す。
「会長候補をノミネートする20名ほどの委員会があります。2年ごとにメンバーが代わっていくのですが、そこでは半分くらいが会長経験者、それに黒人、女性、中国系の人たちがメンバーで、多様性には事欠きません。黒人が会長になるのは必然だったでしょう」
また、会長になるための”資格”は「ゴルフを愛していることが必須条件。私も経験しましたが、ゴルフのことを語るとき、少年のような目をする会長ばかりでした。それと任期(原則2年)中はボランティア活動なので交通費、宿泊代など自己負担。それに会長職は多忙なので、自分の仕事と二足のワラジは厳しい。経済的裏付けがないと無理といえます」
同協会はR&Aとともに世界のゴルフルールを制定、国内のゴルフを統括し、全米オープンなど多くの選手権競技を主催しているが、実際の業務運営や指揮は最高経営責任者のマイク・ワン氏を頂点とするチームが行う。ここには多大な報酬が伴う。
ワン氏は全米女子プロゴルフ協会の前コミッショナーで、弱体化した同協会を立て直した凄腕のビジネスマンだ。対して会長職は無報酬で、USGAの理念を執行実現するための象徴といえる。
彼の2月からの活躍が楽しみだ。
週刊ゴルフダイジェスト2023年1月31日号より