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プロ&トップアマに聞いた【力をもらった“言葉”】#3「笑っていればバーディがくる!」菅沼菜々を支える金言

ゴルフに限らず、誰かの「言葉」で気持ちが軽くなったり、やる気になったり、力をもらったという経験は誰しもあるだろう。今回は、自分のゴルフの糧となった「言葉」について、プロやトップアマに聞いた。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Yasuo Masuda

“笑っていればバーディがくる!”

辻秀一(メンタルトレーナー)

「マイナスなことは考えません」(菅沼菜々)
「4年くらい前からメンタルトレーニングを受けているスポーツドクターの辻秀一さんの言葉です。いくつか心にありますが、この言葉は今も大切にしています。普通は『バーディを取れば笑顔になる』と思うけれど『笑顔でいるからバーディが取れる』。この発想はなかった。いつも『笑顔でいなさい』とも言われます。怒る、悲しむなどマイナスなことは考えなくていい、終わったことにこだわる必要もないと。メンタルトレーニングの効果は大きいと自分でも感じています」

“自分らしく”

祖母

「どんなことでも乗り越えられます」(尾関彩美悠)
「3世代のゴルフ一家です。80歳を超えるおばあちゃんは、今でもゴルフをします。いつもピシッとしていて、家事もテキパキしているし、人の悪口は言わないし、弱音も絶対に吐かない。すごく明るくて尊敬しています。私がメンタルで落ちているとき『あみゆは自分らしくいればいいのよ』と言ってくれるんです。他人は他人、自分は自分。自分の芯さえ持っていれば、どんなことでも乗り越えられる。そういう意味が込められていて、たまに思い出す心に残る言葉です」

“甘くないから”

いつもお世話になっている方

「ハッとして挑戦者の気持ちになれた」(川﨑春花)
「ステップ・アップ・ツアーで2日目トップに立った日の一言。きつい言い方ではなく、ごく普通に話しかける感じでフッと言われました。そういうときってだいたい『大丈夫だよ』『上手くいくよ』というふうに声がけされることが多かったので、逆に新鮮というかハッとしました。それで最終日は挑戦者の気持ちになれて、結果も優勝。守りに入らなかったのがよかった。言い方が何気ない感じだったので、ビクッとしたり気負ったりすることもなかったです」

“孤高であれ”

同じ病室の読書家の男性

「全力でやり切る原動力です」(吉田隼人)

「長い入院生活の間、同室の方がたくさん入れ替わりました。そのなかで短期で入院してきた5歳ほど年上の読書家の男性から授かった言葉は忘れられません。『吉田くんは、孤高であれ』と。『僕には君の苦しみはわからない。けれど、君は自分の思うことを突き詰めてやっている。人がどうこうではなく、自分が思い描いた通りにやればいい』。(右大腿骨切断で)誰にも頼れず、苦しいこともあるけれど、『何かを乗り越えるための強さを持っているよ』というその言葉は今でもすごく励みになっていて、障害者日本オープン3連覇がかかる試合のプレッシャーを感じたときや、ゴルフで苦しいときほど脳裏に浮かびます。『孤高であれ』と自分を鼓舞して今の自分にできることを全力でやり切る。その原動力になっています」

“どうせアカンねんから、思い切っていけ”

杉原輝雄

「ビビッていた自分の背中を押してくれた」(杉原敏一)

「91年関西オープンの最終日、5アンダーの単独首位で迎えた朝。プロ2年目で初優勝がかかっているので前夜からずっと緊張していました。そんな僕の調子をみて親父から朝のレストランでかけられた言葉。失うものはないんだから、負けてもともと、という開き直りの気持ちになり優勝することができました。その後も予選通過がかかるパッティングや、予選会での大事なショットのときに親父の言葉を思い出すことがあります。今では応援されているように感じる言葉ですね」

“やるしかないな! いってこい!”

「試合前に背中を押されました」(齊藤かおり)

「最後の背中押しはいつも、父の簡単な言葉です。そして終わった後は結果に関係なく『よく頑張ったな』と言ってくれる。18年のドラコン日本大会、両脚に古傷がある私は満身創痍。でも余命宣告されていた父に試合前に背中を押され、絶対喜ばせようと決意。日本大会10回目の優勝と、世界大会へ挑戦する姿を父に見せることができました」

“「音」が仕切り直しさせてくれたと思え”

「気分的にラクになりました」(佐藤信人)
「シード落ちしそうな頃、僕の現役プレーヤーとしての晩年ですが、自分のゴルフが思い通りにいかず。ギャラリーの方が出す音、たとえばお弁当箱をバリバリ開ける音などに『なんでこのタイミングでこの音を出すの?』などと、せっかく見に来てくれているのに、けっこうイライラして。親父が見かねて、『そういう音は、そのまま打ったらミスするかもしれなかったとき、逆にいい仕切り直しをさせてくれたんだと思えばいい』と。腹を立ててもしょうがないと親父なりに伝えてくれたんでしょう。『ああ、確かにそうだな』と思うことができ、そこから意外と音も平気になり、気分的にもラクになりました。成績はそんなに変わらなかったですけど、心に響いた言葉ではあります」

“お前は一度勝っている。相手は初めての決勝だから、心理的にはお前が有利”

「これで落ち着いてプレーできた」(大橋武広さん 51歳・HC2.7)
「大宮CCで2度目のクラブチャンピオン戦、決勝前の父の言葉です。相手は倶楽部の最上位の実力者でハンディは2。当時私はハンディ5でした。厳しい戦いになりそうと吐露したとき、父にこう言われたことで、相手の心を見ながら落ち着いてプレーできた。ダウンしても焦ることなく、アップしても心を動かすことなく冷静なゴルフで勝てたと思います」

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月29日号より