プロ&トップアマに聞いた【力をもらった“言葉”】#2「3年かかった壊れたのなら3年かけて作り直せばいい」ジャンボの言葉に救われた
ゴルフに限らず、誰かの「言葉」で気持ちが軽くなったり、やる気になったり、力をもらったという経験は誰しもあるだろう。今回は、自分のゴルフの糧となった「言葉」について、プロやトップアマに聞いた。
PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Yasuo Masuda
- ゴルフに限らず、誰かの「言葉」で気持ちが軽くなったり、やる気になったり、力をもらったという経験は誰しもあるだろう。今回は、自分のゴルフの糧となった「言葉」について、プロやトップアマに聞いた。 PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Yasuo Masuda ……
- ゴルフに限らず、誰かの「言葉」で気持ちが軽くなったり、やる気になったり、力をもらったという経験は誰しもあるだろう。今回は、自分のゴルフの糧となった「言葉」について、プロやトップアマに聞いた。 PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Yasuo Masuda “腑に落……
先達からもらった“一生モノ”の言葉
「心臓を鷲づかみにされました」(羽川豊)
「学生時代、そしてプロデビューしてからも順調でしたが、あるときから体が思うようにならず、パットもイップスという病にとりつかれて。『こんなはずはない』とやっているうちに泥沼へと……そして門を叩いたのはジャンボ尾崎さんの“学校”。そこで『3年かかって壊れたのなら、3年かけて作り直せばいいじゃないか』と。尾崎さんは『アスリートは“心技体”ではなく“体技心”』が持論。どんなに強い精神を持っていても体が動かなければ話にならない。大スランプを乗り越えて40歳からそれ以上の勝ち星を挙げた人。焦らずじっくりと土台を築けという励ましの言葉です。よく少しの練習で“開眼”したという人もいますが、そんな甘いものじゃないことを体感しましたね」
「考えすぎないプレーができるように」(大里桃子)
「高校1年の頃、バンテリンレディスで初めてプロの試合で鬼澤プロと一緒に回りました。自分でも感じてはいましたがプレーが遅かった。そこで『3秒早くプレーしなさい』と。これはお叱りでもあり、励ましでもあったと思います。それ以来あまり時間をかけずサッとプレーするように心がけています。球筋を決めたらスパッと打つ。考えすぎずにプレーできるようになった。鬼澤プロは今でも応援してくれていて、1回目のプロテストで落ちたときも支えてくださり、2回目の合格時にはお手紙まで。『プロゴルファーである前に、いち社会人であれ』と。ジュニアからゴルフ界しか知らないと非常識な物言いや振る舞いになりやすい。だからこそ、一般常識を持ち、社会に出ても通用する大人にならなければ。この言葉も今も心に残っています」
「勝者に対するリスペクトが生まれた」(森口祐子)
「81、82年、優勝は計10勝、2年連続で賞金ランク2位となってから、毎週声援と優勝への期待をいただけるし、自分もさらに上の階段を見据えていますから、最終日に優勝争いから離脱した順位にいるときなど、モチベーションをどう上げてよいか悩んでいたんです。それを大迫たつ子さんに打ち明けたら『この世界はな、1番目指す人が集まってんねん。だけどな、その週勝てるのは1人しかおらへん。だからこそ2位以下のプレーでもっとその価値を上げたいやん』と。“一生懸命”の結果の“負け方”で、勝者に対するリスペクトが生まれ、それにより優勝やツアー全体の価値が上がっていく。それが自分が優勝したいというモチベーションのアップにもつながると理解させてくれました」
「今も私にとっての道標です」(奥田靖己)
「プロになる前に高松先生に出会って、一番最初に言われた言葉です。私の“ゴルフ観”を180度変えました。ミスを連発していたときの一言で、アドレスしたときに言われました。この言葉で私のゴルフに対する考えを根幹から変えざるをえなくなった。いまだにほどけません。ほどいたらヘッドは思ったように動くんですけどね。私にとっての道標です」
「日々考えながらラウンドしてます」(木名瀬和重さん・50歳・HC2)
「水戸中央チームとして市町村対抗選手権に出場していますが、そこの会長さんが薄井親男さん、82歳。心の師匠の素晴らしい語録が、この10カ条です。
(1)ゾーンに入るには何事も動じない心が必要
(2)優勝に必要な3つの条件は①家族仲がいいこと ②経済が安定していること ③仲間がたくさんいること
(3)練習時、必ず一球一球後ろから見て方向を確認する
(4)1ホール1ホール区切ってプレーする。前のホールで多く叩こうが少なく上がろうが必ず区切る
(5)1歩1歩前進する。一気には上がれない
(6)試合は必ず10位以内にいること。そうすれば必ず勝てる!!!
(7)喜怒哀楽を出すとゾーンから抜けてしまう。イーグルがきても、バーティがきてもOBがあっても想定内と思う
(8)あきらめるゴルフも大事
(9)設計者は、風をつくり、コースには罠をつくる。コースを考え分析する
(10)風邪を引かないこと
こんなことを日々考えてラウンドし、結果を生んでいます」
本から得た金言
「いつも感謝を噛みしめながらプレー」(髙橋勝成)
「誰の言葉かはわかりませんが、本で読んだときに胸に刻みました。この言葉のように人生を終えられればいいなと。私は北海道で育ち、高校卒業後、親から勘当同然で上京しました。日大に拾ってもらえなければどうなっていたか。そして入学しゴルフ部で顔合わせしたときから親友の男がいます。実家が茨城の練習場、卒業後そこで4カ月世話になり、茨城GCを紹介してもらい、そこからプロへの道が開けました。彼のおかげです。今でも友情は続いていて、地元で行われた今年の日本プロシニアにも応援に駆け付けてくれた。自分が今ここに在るのも、彼をはじめ皆から助けてもらったから。だから僕も少しでも仲間を手助けしたい。『感謝』そのことを噛みしめながらいつもプレーしています」
「アメリカに行く自分への応援歌に聞こえた」(水巻善典)
「僕が米国へ移り住む前、何かの本で見たこの言葉が刺さりました。よく『出る杭は打たれる』と言いますが、この言葉を『出始めた杭は打たれやすいが、長く伸びた杭は打たれようがない』ととらえた。思ったことはすぐに“やっちゃえ”という応援歌に聞こえました。米国移住は日本の家をすべて売り払って、不退転の決断でした。別荘の類を米国に建てる人はいましたが、住まいまで売って移住した人は、プロゴルフ界では僕が初めてではないでしょうか。若くなければできなかったでしょうね。確かノーベル賞作家・大江健三郎さんの著書に『見るまえに跳べ』があったかと思いますが、今思えばあのタイトルの心境だったと思います」
「ラウンド中によく思い出します」(佐藤慶太さん・48歳・HC1.1)
「『どんなに有利な状況になったとしても決して勝ったと思わない』と対です。10年ほど前の週刊ゴルフダイジェストの漫画『千里の道も』のなかで、優勝争いをしている主人公に対して解説者の中嶋常幸プロが言っていたセリフです」
「自分が救われた言葉です」(松下健さん・58歳・HC4.2)
「悪いイメージや感覚を、撃退しようとせず、自然と消え去るのを待つ。厳しい局面を自力で脱出しようとしていた自分が救われた言葉です」
週刊ゴルフダイジェスト2022年11月29日号より