クラブはPXGなのにあだ名はSIM。“リアル300Y”のタイの19歳に世界も熱視線!【アジアパシフィック女子アマ】
タイのサイアムCCウォーターサイドコースで開催されているアジアパシフィック女子アマ、初日の様子をレポート!
アジアの女子アマNo.1を決めるアジアパシフィック女子アマ。日本からは6選手が出場し、前回チャンピオンの橋本美月と上田澪空が3アンダーで5位タイ、手塚彩馨と荒木優奈が2アンダー11位タイ、新地真美夏が1アンダー17位タイにつけた。出場選手中、世界アマチュアランク最上位(最新のランキングで3位)の馬場咲希は1オーバー43位タイと出遅れた。
そんな馬場咲希と同組で回ったのが、地元タイの19歳、ナタキッター・ウォンタウィラー選手。タイ人は一般的に名前が長いため、「チューレン」と呼ばれる愛称を持つ。ウォンタウィラー選手のチューレンは「SIM(シム)」(ちなみにクラブはテーラーではなくPXG)。
何より驚くべきはその飛距離。馬場咲希といえば270Yを誇るドライバーショットが持ち味だが、シムはその30Y先を行く。「ビックリしました。ヤーデージブックを見たら、これ300Y飛んでるじゃんって」と馬場が言うとおり、290Y先のバンカーをキャリーで越えたり、アゲンストのなか3Wで280Y以上飛ばしてみせるのだ。
6番パー5(517Y)には300Y付近にクリーク(小川)が横たわっており、練習ラウンドでコースチェックをした際、「このクリークはハザードとして機能していないのでは?」と思っていたのだが、シムは3Wでクリークのすぐ手前まで運ぶ。ドライバーだったら間違いなく入っていた。そこからUTでグリーン脇まで運び、らくらくバーディ。
その後も飛んで曲がらないドライバーで攻め続け、セカンドはほぼウェッジという意次元のゴルフ。6バーディ1ボギーの5アンダーで2位タイにつけた。
すぐさま、タイのゴルフ事情に精通する井上星一郎プロに聞いてみると、実は先々週のタイアマ(日本でいう日本アマ)で優勝したばかりの選手だという。
「タイアマ優勝後、ウォーターサイドでの練習ラウンドについて回りましたが、帯同していたお父さんの話では『リアルに300Y出せる』と。その飛距離をウリに、すでに韓国の銀行系企業がスポンサーについていて、来年にはLPGAツアーのQTに挑戦する予定だといいます。タイアマと練習ラウンドを視察した限り、同じぐらい飛ぶ選手があと2人はいましたね」
先日タイのA・ティティクル(19歳)が世界ランク1位に輝くなど、近年タイ勢の躍進が続いているが、またしても注目の新星が現れた。
一緒に回った馬場も、自分を凌駕する飛ばしっぷりにペースを乱されたのかと思いきや、「それはあまり気にならなかったですね」。出遅れた原因はパット。「ショットはそんなに悪くなかったのですが、パットが途中からまったく分からなくなった」とお手上げ状態。「打つ前からまったく入る気がしない」と、最後までチャンスをものにできず、ノーバーディ1ボギー。しかしそんな状態でも、巧みなバンカーショットやアプローチで難しい16、17番をしのぎ、1オーバーでこらえられたのは大きい。
明日も“シム”と同組で回る馬場。「全米女子アマのときはマッチプレーということもあってパットがしっかり打てていた」と前日の会見で語っていたパットの感触を取り戻すことができれば、十分に巻き返しを図れるはずだ。