Myゴルフダイジェスト

【世界基準を追いかけろ!】Vol.106「強い選手は皆、理にかなった練習をしている」

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は前回に引き続きジュニアゴルファーの実力向上の要因について、今と昔のメソッドの違いについて2人に話してもらった

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 前回のお話ですと、2015年以前のジュニアは、体と技術の連携が効果的にできていなかったということですが、それまでのトレーニング事情はどういった感じだったんですか。

黒宮 僕がジュニアのころ通っていた福井工大付属高校は当時、僕、森博貴、川村昌弘などナショナルチームメンバーが4〜5人いたんですよ。自ら考えたトレーニングを部活内で2時間くらい使ってやっていましたよね。

GD 例えば、どんなトレーニングですか。

黒宮 当時、「ゴルファーは腕は鍛えるな」とか、「ボウリングはしちゃだめ」など言われましたよね。

目澤 ありましたね(笑)。

黒宮 でも上手い選手は、スウィングには腕の力が絶対に要るというのを感覚で分かっていたので、練習ネットに鎖を繋げてよじ登るトレーニングをしたりしていましたよね。一番良いのは、いわゆる手押し車です。腹筋や背筋などが鍛えられて、体幹やお尻が強くなるうえに、腕も鍛えられるんですよ。僕は大学のタワーの階段を、手押し車で上がっていました。

GD 周囲の意見に反して、腕の力が必要だとなぜ思ったのですか。


黒宮 地面の力を足からもらってきて、その力を胴体を通して腕に流し、最終的に球に伝えるというのを当時から感覚的に分かっていたんですよ。ですから腕の力が出せなかった瞬間に、前傾が崩れるな、やっぱり腕のトレーニングって必要なんだなって感じていたんです。それで実際に腕のトレーニングをしたら、ショットの調子が良くなりましたからね。

X 後に、TPI(※1)で学ぶキネマティックシークエンス(※2)の理論を、ジュニアの頃から理屈でなく感覚で分かっていたわけですね。

GD 練習法は誰が考えていたんですか。

黒宮 ほぼ僕でしたね。お尻歩きとかもやっていましたね。

目澤 僕は学生の頃にアーリーエクステンション(※3)気味だったので、日大時代に後輩の幹仁に、インパクトで伸び上がらないようにするにはどうしたらいいかを聞いたんです。そうしたら、頭を左右から2人に押さえられて、お尻にキャディバッグを当てて、前傾姿勢を強制的にキープした状態で、「目澤君これで素振り1000回ね」って言われて振らされたの覚えています。「スウィング中にお腹とかこんなに痛いもんなの?」って言ったら、「痛いと思っている時点でお腹が使えてないから」って言われ、そのとき確かにって思いました。あの当時に体とスウィングを連携させるトレーニングをやっていた幹仁ってすごいなって思いましたよ。

黒宮 でも上手い選手たちがやっていたことは、みんな理に適っていましたよね。アマチュア時代(松山)英樹を見ていて、すごいなって思っていましたよね。練習を見ていましたけど、あの当時からずっと左手の片手打ちをやっていましたから。左手一本で打つの、けっこう難しいですからね。

目澤 片手打ちは今でも続けていますからね、継続してやり続けるのもすごいですよね。

(※1)TPI=タイトリストパフォーマンスインスティテュート。最先端技術と施設を備え、世界中のゴルファーから集めたデータの蓄積・研究をして独自のプログラムを構築。多くのゴルファーにフィードバックすべく、「TPI認定ゴルフフィットネスインストラクター」を養成し世界中で2万人以上が認定されている。(※2)運動連鎖。ダウンスウィングのエネルギーは股関節、腰、胸、腕の順番で伝わり、最後にシャフトを経てヘッドが走る。(※3)アドレス時の前傾角が崩れ、ダウンスウィングの早い段階で上半身が起き上がってしまうこと

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに。2022年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月11日号より