Myゴルフダイジェスト

【名手の名言】尾崎将司「世界に伍するには、いかにドローボールをコントロールできるかだ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は日本のプロトーナメント隆盛の礎を築いたジャンボ尾崎の言葉を2つご紹介!

スランプを乗り越え113もの勝利を積み上げたジャンボ


世界に伍するには
いかにドローボールを
コントロールできるかだ

尾崎将司


ジャンボ尾崎は技術談義が大好きだ。

だから、オフのトレーニングをプロ仲間を集めてやるのも、実は技術論をみんなで侃侃諤諤(かんかんがくがく)やりたいからだという側面もあるのだ。

トーナメント会場の練習場では、自分は練習しなくても、若手のアドバイスにはよくのってやっていた。そこではプロ同士でしか理解できないような高度な技術言葉が飛び交う。

上述の言葉は、そんな練習場でのやりとりのなかで耳にした話だ。

「ドローボールはフェードボールと違って、チェックポイントがたくさんある。フェードはフェード幅の大小の違いだけだが、ドローは体をコントロールしなければ、チーピンにもなるし、プッシュアウトにもなりうる。だからフェードを持ち球としていても、ドローをコントロールできなければ、世界ランカーにはなれない」

右から左に曲がるドローボールを打つことはできても、その曲がり幅までコントロールすることは、通算113勝のレジェンドをもってしても、容易ではなかった。ドローのコントロールが要求されるマスターズで思うような活躍ができなかったのは、これが原因であるともジャンボは後年語っている。


ベン・ホーガンから
「ワイングラスを満タンにし
それを左手で持ってこぼれない持ち方が
自然なグリップだ」と教わった
と林のおとうちゃんは言っていた

尾崎将司


林のおとうちゃんとは、故・林由郎。林は、ジャンボ尾崎がプロゴルファーを目指して修行した習志野CCのヘッドプロで、いわば師匠筋に当たる。

林はフックに悩み、フェードをマスターしてから大成した。同じくフックを克服し、稀代のボールストライカーと称されたホーガンのグリップの助言は、林の胸に深く届いたのだろう。

そんな林の薫陶を受け、今でいうウィークグリップを体得したジャンボ。このグリップが「右手が強い自分には合っていたようだ」と後年語っている。このグリップが、ドローボールをマスターするうえで少なからず足かせとなったには違いなかろうが、のちにスランプを乗り越え、113勝という前人未到の大記録を打ち立てるまでに至ったのもまた事実。

「林のおとうちゃん」が逝去した際に故人を偲んで語ったのが表題の言葉。自分を作り上げた土台が、ベン・ホーガンから受け継いだグリップにあったということを表現しているといえよう。

■尾崎将司(1947年~)

1947年、徳島県に生まれる。幼年時から野球に熱中し、海南高では投手、4番バッターで選抜甲子園で優勝。卒業後プロ野球・西鉄ライオンズに入団するも、芽が出ず、プロゴルファーへ転身。70年プロテスト合格。そこから天賦の才能は花開き、遅咲きのライバル青木功とともに、日本のトーナメント隆盛の礎をつくった。勝利数113(うち海外1勝)。賞金王12回。圧倒的な数字を残している。

こちらもチェック!

  • 通算113勝(海外1勝)の偉業を成し遂げているプロゴルファー尾崎将司。スケールの大きいゴルフと他を寄せ付けない圧倒的な強さから“ジャンボ”と呼ばれ、長年にわたり日本のゴルフシーンを牽引してきた。試合中は相手を睥睨し、萎縮させてしまうほどの強いオーラを放っていたジャンボの意外な一面を、長年ジャンボを取材してきたベテラン記者が明かす。 試合前、ギターを弾いたり歌ったりして寛いでいたジャ……
  • 2月の5日から13日にかけて、千葉県の「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」にて、アカデミー入団のセレクションが行われた。参加者は中学3年生から高校2年生までの28人。この日はそのなかの男女合わせて8人が参加し、ジャンボ尾崎が、一人一人球を打つ様子をチェックしていった。 PHOTO/Hiroyuki Okazawa 屋根付きの打席の一角に陣取るジャンボ。名前を呼ばれた選手がその前の……
  • レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、日本のゴルフ界を一変させた革命児「ジャンボ」こと尾崎将司の言葉をご紹介! ゴルフは「心・技・体」ではなく「体・技・心」の順なのだ 日本のゴルフ界を一変させた男がデビュー以来、言い続けている言葉である。尾崎が現れるまではプロゴ……