【PGAツアーエキスプレス】Vol.16 ローリー・マキロイ「どんなことも起こりうることを証明できた」
ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第16回は、前人未到の3度目の年間王者に輝いたローリー・マキロイについて。
PHOTO/Blue Sky Phots
最終戦で奇跡の大逆転V
ローリー・マキロイが2022年シーズンの年間王者に輝いた。3度目の年間王者は史上初。タイガー・ウッズでさえ2度しかなっていないと聞くと、どれだけ偉大なことかがわかるだろう。今年のマキロイは、「勝てそうで勝てない」という印象が強かった。実際はツアー選手権までに1勝しているし、そんなこともないのだが……。
キャリアグランドスラムを狙ったマスターズでは2位、またしても夢を叶えることはできなかった。もっと強烈な印象を残したのは全英オープン。最終日に首位でスタートしながら、最終的には3位。ほぼマキロイの応援だったと言ってもいいギャラリーの歓声がため息に変わったのを今でも鮮明に覚えている。この2つのメジャーの印象だけで今年を総括してしまうのは違うが、それだけこの2試合は印象深かった。そして、それに負けないほどのインパクトを残したのが最終戦のツアー選手権だろう。
トップのスコッティ・シェフラーと6打差でスタートした最終日。マキロイが「見事な“ショー”だった」と話したように、1番でボギーを叩くもその後4つのバーディを奪い、スコアを落としていたシェフラーとの差は前半だけで5つ縮まった。そして15番、マキロイは約10メートルのパットを奇跡的に決めて、シェフラーをとらえ、優勝につなげたのだった。試合後、マキロイは次のように話した。
「今週は、どんなことでも起こりうることを証明できたんじゃないかな。それはリードしていても、追う立場でも。あんなスタート(ボギー)だと、『もうチャンスはないな』と思ってしまいがちだけど、僕はそうではなかった。前向きにプレーに集中することができたんだ。だからこそ、この結果を得られたんだと確信しているよ」
そういった思考に至ったのは、一番近くで支えてきたキャディの存在があった。
「今年は、いい優勝もあったけど、メジャーは取れていない。18番グリーンで『このタイトルを勝ち取るに値する』と声をかけてくれた。やってきたことに、自信を持つことができたよ」(マキロイ)
LIVゴルフの参入により、PGAツアーは激動の一年になった。特に、マキロイは中心的な役割を担い、事あるごとにコメントを求められた。ゴルフ以外でも注目されることも。彼は最後にこう締めくくった。
「とてもタフな一年だった。こういう形で締めくくれたのはよかったよ」
そこには、PGAツアーメンバーとしての矜持が感じられた。
月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号より
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