Myゴルフダイジェスト

【わかったなんて言えません】Vol.95 清水大成 #1「道具や模型でイメージさせる篠塚先生の教え」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今回からのゲストは、昨年プロ入りしたばかりの若手のホープ、清水大成プロ。時松プロとは、出身が同じ福岡県で、ジュニア時代の師匠もテンフィンガーグリップも同じと、昔からよく知っている間柄。さて、どんな話が飛び出すでしょうか。

TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/清水大成

1999年生まれ、福岡県出身。日大卒業後、20年プロ入り。ルーキーにして賞金シード獲得。1勝目が待たれる。飛距離や爽やかさも魅力

時松 大成は何歳違うんだっけ。

清水 源蔵さんが5つ上です。僕が小学生のときに源蔵さんは高校生でしたから。その頃、筑紫丘GCでたまに一緒に回ってもらっていましたよね。

時松 僕、どんな感じだった。

清水 その頃の源蔵さんですか。本当に上手い印象しかないです。特にパター。この人、ひたすら入るな、みたいな(笑)。ショットはその頃から曲がらなくてピンに集まっていくし、それがまた入るって感じで。たまにショットをミスしてもだいたいパーを取ってくる。「これがゴルフか」みたいな感じを受けましたね。

時松 僕の当時の大成の印象は、真面目、かな。小さい頃から黙々と練習をしていた。ご両親のサポートもすごかったしね。いつも一緒に来て大成の練習をずっと見ていた。家に帰ってからお父さんとスウィングのことなんかを話しているんじゃないかって思っていたけど。

清水 そうですね。大きくなると正直、もういいよっていう感じではあったんです(笑)。悩んでいるときとか、親が見ていないところでスウィングを自分で少しいじったりしていました。

時松 自分でもわかっているのに言われると、「もう、わかってるよ」って気持ちになる。でもこうして歳を重ねてきたら、子どもにあんなに言ってくれたのは本当にありがたいなと思うよ。

清水 そうですね。

時松 大成のお父さんはゴルフ上手かったもんね。

清水 シングルでした。源蔵さんのお父さんも上手ですよね。

時松 この前シニアの試合で予選を通ったんだよ。75歳で「75」のエージシュートで。

清水 すごいですね。

時松 ところで大成は、篠塚(武久)先生のすごさって、どんなところだと思っていた? 僕が思うに、僕らに何かを教えるときに教材というか道具を作ってくれたじゃない。「胸を回して」とか「手の位置はこう」とか、そういう教え方ではなくて「今回のテーマはコレ」という感じで、そのスウィングの動きをイメージできる道具を作って見せてくれるんだよね。あれはすごいと思った。

清水 その通りです。子どもって言葉ではわからない部分があるので、道具とか人形とかを使って説明してもらうとすごくわかりやすかったですね。

時松 イメージの世界なので正直、わかりにくいときもあったけど、でもそのスウィングの動きが、こういうことだったんだとわかったときは嬉しかった。多分、篠塚先生としたら、教材を使うことで、全部教えてもらおうとせずに少しは自分なりに考えなさいっていう教育的な部分もあったと思う。大成は、何か覚えてる道具ってある。

清水 覚えているのは、グリップが離れている器具とか。

時松 あ~。

清水 あれは手でねじらないスウィングを身につけるためのものですよね。

時松 先生はアームターンが嫌いだから。だからあの器具でスプリットハンドみたいにしてリリースができないようにして、自然にリリースしないで打つスウィングを身に付けた。

清水 地球儀が付いたクラブもありましたよね。

時松 ああ、地球儀を回すイメージでショットをしなさいみたいな。地球儀を回して、スウィングはこのイメージだって言うんだけれど、地球儀をどっち回転で回すんだとか理屈で考えるとかえっておかしくなる。あくまでイメージなんだよね。

清水 そう。完全にイメージです。刀とかなかったですか。

時松 あった。本物じゃなくてクラブに模したオモチャの刀だけど、あれは刃を意識して振るとスウィングがスムーズになるとかインパクトが正確になるとかでしょう。

清水 パッティングは、パターへッドと同じ動きをするという、弁当箱のような長方形の箱の模型もありましたよね。

時松 ああ、4人乗りのブランコみたいな形をした模型で、横に福引のときにガラガラポンと回すときの取っ手みたいなのが付いているやつね。取っ手を左に回したときに箱が左上に持ち上がっていく動きが、インパクトからフォローでの理想的なパターヘッドの動きだっていう。

清水 パッティングって普通の動きだと逆回転が入りやすいけど、あの箱の動き通りにやると最初から順回転がかかるように打てるんですよね。源蔵さんのパターの動きって、あの箱の動きと同じですよね。

時松
 あの模型は結構タメになったというか、何回も動かしてその動きを見て、感じて、それで実際にパターで打って、みたいにしていた。まだ、完全には身に付いていないけどね。

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月13日号より