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【PGAツアーHOTLINE】Vol.34 アダム・スコット躍進のきっかけとなった09年のプレジデンツカップ

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第34回はアダム・スコットが大躍進を遂げる転機となった試合について。

ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos

PGAツアーのプレーオフシリーズ第1戦「セントジュード選手権」で5位タイに入ったアダム。2戦目のBMW選手権の出場資格であるフェデックスカップポイント70位以内に滑り込んだ

チームメイトのカブレラとマスターズで激闘

米国対インターナショナル(欧州を除く世界選抜)のチーム戦「プレジデンツカップ」が、9月に開催されます。2年に1度のビッグイベントの出場メンバーはまだ決まっていませんが、今回はインターナショナルチームで大会10度目の出場を目指すアダム・スコットにスポットを当てます。


現在アダムのポイントランクによる出場順位は8位。自動的に出られるのが8位までなので当落線上。「トレバー(イメルマン主将)のためにもメンバー入りしたい。でもキャプテンピックで彼に僕を選ばせるようなことはしたくない。アメリカ(クエールホローが舞台)は僕が主戦場にしている場所だから、絶対自力で出場権を勝ち取りたい」。

さすがはツアー屈指のナイスガイ。教科書のような美しいスウィングで世界ランク1位にも輝いたオージーは、前
回大会まで44マッチに出場し19ポイント(部門トップのアーニー・エルスに2ポイント差)を稼いでいます。

転機になったのは09年。当時の彼は世界ランク58位でフェデックスのポイントランクも116位。ゴルフの迷路にはまっていたときキャプテンピックで出場権を得たことが、その後のマスターズ(13年)優勝に繋がったのだそうです。

「世界のベストと戦わなければならない舞台でごまかしは利きません。堂々と持てる力を出し尽くす。あのときトッププレーヤーと対戦してつかんだ自信が、その後のモチベーションになった。機会を与えられることの尊さを感じました」

翌年彼はスランプを抜け出し、ツアー7勝目を挙げメジャー制覇への道を突き進みます。13年のマスターズの最終ホールでバーディを決めた彼が激しいガッツポーズを見せながら「カモン・オージー!」と叫んだシーンは印象的です。そしてプレーオフを戦ったのがプレジデンツカップのチームメイト、アンヘル・カブレラ。アルゼンチンのヒーローを破り栄冠に輝いたとき、アダムは09年にカブレラから言われた言葉を思い出したといいます。

「『キミは本当に素晴らしいプレーヤーなんだ』、そう彼に言われて忘れていた自分を取り戻しました。それはプレジデンツカップで紡がれた、信じられないような友情の証しです」

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月6日号より