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「メジャーでも特別なことはしない」「目の前の一打に集中」“全英前”のキャメロン・スミス 単独インタビュー!

1月のセントリー、3月のプレーヤーズ選手権に勝った勢いのまま、圧巻のプレーで全英オープンを制したキャメロン・スミス。週刊ゴルフダイジェストは、全米オープン、全英オープンを目前に控えた6月、スミスに単独インタビューを行っていた。そこでスミスが語ったのは、メンタルコーチの存在だった。

取材・撮影/田邉安啓

キャメロン・スミス
1993年、オーストラリア・ブリスベン生まれ。聖地セントアンドリュースで行われた全英オープンを大会タイ記録の20アンダーで制した。PGAツアー6勝。世界ランキング2位

「頭の中のスイッチを入れると集中できるんだ」

GD 先ほど、メンタルコーチと少しお話しできたんですけど、どういう方ですか?

スミス 心理学者のジオナ・サリバンです。ジオナとタッグを組んで3年(2019年初頭から)になります。はっきりと成績が向上して、取り組むべき課題も明確になりました。

GD 目の前の一打に集中できて、プレー以外のことに惑わされなくなったとか……。

スミス ジオナと組むまでは潜在的に結果を気にしすぎていたんだと思います。自分にできる以上の完璧なショットを求めたり、ショット以外のことを気にしたり。ショットとショットの間にも考えすぎていましたね。

GD 優勝した1月のハワイの試合(セントリー)でも、最終日はジョン・ラームに激しく追い上げられましたが、その時もショットに集中できていた?

スミス そうです。その時にしなければならないことだけに集中することが大切なんです。あの日はとてもいいゴルフができていて気分がよかった。いま思えば、あの試合が世界の強豪選手と直接対峙して勝った初めての経験だったと思いますね。あの勝利がかなり自分の自信につながったと思います。取り組んできたことが間違ってなかったと実感しました。

GD 過去には、目の前の一打に集中できていなかった?

スミス 向上する余地が大いにありましたね。ドライバーに関しては、自分でも本当に上手くなったと思います。過去には、打ちたいショットを思い描かずに何となくアドレスに入って、感覚がしっくりこないまま打ったりすることがありました。でも、いまはその場で求められるショットとターゲットをかなりピンポイントに決めてから打つようになりました。頭の中のスイッチを入れることで、集中して気持ちよくアドレスに入れるようになりましたね。


「アプローチはひとつじゃない
だから楽しいんだ」

「キャメロンは一打に対する意思が弱かったんだ。練習日にはいいショットを打てているのに、週末になると、池に入れたくないとか、予選を通りたいとか、ショット以外の意思がショットの邪魔をしていた。だから、いつどんな状況でも、そのとき打ちたいショットに集中するトレーニングをしてきたんだ」とサリバンは言う

GD いまでは、あらゆる弾道を打ち分けて、打ちたいショットを打てるようになった?

スミス はい、そうです。弾道を明確に描けるようになりました。練習場でも、ただ漫然とボールを打つのではなく、一打一打の弾道を描いてから打っています。これこそが、成績の向上につながった要因です。

GD 統計を見ると、決して飛ばし屋ではないですが、グリーン周りや50~125ヤードといったショートゲームに強みがある。ショートパットも上手いのでバーディ奪取率も高い。パー5でのスコアも1位(6月時点)です。ショートゲームが武器だと言っていいですよね?

スミス 昔からショートゲームは得意でしたし、グリーン周りなどで創造的なショットを打つのも楽しかった。物心がついた時からいろんなアプローチショットを打ってきました。ショートゲームを上手くなろうとしていたことは覚えています。これがあるので、グリーンを外してもパーセーブできるという安心感が持てるんです。

GD クラブの好みはありますか?

スミス とくにないです。タイトリストのスタッフが非常にいい調整をしてくれているので、クラブに何か特別なことはしていません。いったん気に入ったクラブが見つかったら、ほとんど替えませんし。たとえばドライバーヘッドが新しくなっても、同じシャフトを挿して試しています。

一度、気に入ったモデルが見つかったら、長く使い続けるという。現在のアイアンはタイトリストのT100。ウェッジはボーケイ・デザインSM9

GD PGAツアーで5勝(6月時点)を挙げて、いまやツアーの顔のひとりですね。

スミス 参戦して7~8年になるので、ツアー仲間や知り合い、友人も増えました。

GD ベストフレンドは?

スミス (マーク・)レイシュマン、アダム(・スコット)、マティー(マット・ジョーンズ)。やっぱり、オーストラリア人が多いのかな。

(左上)グリーンにコーチを立たせて、そこまでランニングアプローチを試す。まるでパターを使っているかのようにスムーズに転がっていく/(左下)キャディバッグを置いて、その上を越すロブショットを練習する。いつも同じ高さまで球が上がって、同じ場所に落とせるか確認する/(右)こちらは少しスピンを入れたピッチ&ラン。同じような状況でも、エッジやピンまでの距離、グリーンの傾斜などを想定していろいろ試す

「メジャーでも特別な準備はしない
フラットな気持ちで臨むだけ」

GD ツアーには飛ばし屋がひしめいていますが、どう対抗しているのですか?

スミス とにかくフェアウェイをキープすること。第2打でアイアンを持てれば、自分のバーディを取れる確率は上がります。フェアウェイさえキープできれば、そこから先は“自動的”に進みます。

GD それは、全米オープン、全英オープンが楽しみですね。

スミス どうでしょう(笑)。自分としては、毎週毎週を大切にして優勝を狙っています。どの試合でも変わらないイーブンな気持ちで望んでいるんです。

GD フェアウェイが狭くても広くても関係ない?

スミス この7〜8年間のツアー生活で学んだことは、ありとあらゆるタイプの異なるコースでプレーして、どのコースでも自分には勝つチャンスがあると知ったことです。

GD メジャーも他の試合も同じ、ということですか?

スミス はい。メジャーに対して何か特別に準備することはありません。どんな試合も、事前準備から試合中のルーティンまですべて同じです。みなさんは、メジャーは特別で大きな試合だから、特別な準備をして臨むものと思われるかもしれませんが、それは余計なプレッシャーを自分にかけるだけです。

GD ではメジャーで勝つには、何が必要だと思いますか? 先ほどはフェアウェイキープが大切ということでしたが……。

スミス 基本的には同じですけど、よりアグレッシブに攻めることが大切かもしれません。アグレッシブに攻めることでミスは起こります。でもバーディを取らないと勝てないとも思っています。

GD すでにバーディ奪取率はトップですが、もっとバーディが必要? 平均スコアも今年はトップに肉薄していますよ。

スミス えっ、そうですか? 自分では気づいていませんでした。今日よりも明日、今週よりも来週、もっとよくなることだけを考えています。

GD 松山選手もライバルのひとりだと思いますが、どんなプレーヤーだと思っていますか?

スミス とてもいい選手です。初めてマツヤマと同じ試合に出たのは、確か2011年のアジアンアマ(シンガポール)だったと思います。マツヤマが勝った大会です。あの当時、僕がそれまで見てきたどの選手よりも上手かった。しかも、その後もずっと進化し続けている。マツヤマは日本のヒーローですね。

GD プレジデンツカップでは同じチームになりますが、何か話したりしていますか?

スミス プレジデンツカップについてはまだ何も話していません。毎週の身近なできごとがもっぱらの話題です。

GD 松山選手から話しかけるんですか?

スミス そんな時もありますよ。どんな話題でも、僕をリスペクトしてくれる態度はすごく感じます。でも、ショットを打った後に、ミスしたのかなと思わせておいて、ボールはピンに寄っていくあの仕草は、からかわれているのかな? ってちょっと思ったりしますけどね(笑)。

お互いをリスペクトし合っているというキャメロン・スミスと松山。9月のプレジデンツカップでは、ワンチームとして戦う予定だ

GD ところで、そのヘアスタイルはいつからですか?

スミス いまはこのヘアスタイルで落ち着いていますね(笑)。この2〜3年で自分のアイデンティティとして定着しました。グッドって言う人もいるし、笑ってくれる人もいる。それが気に入っている理由です。

GD プレーは冷静そのものですが、実は髪型のようにワイルドな性格なんでしょうか?

スミス いえいえ、物静かなタイプですよ。釣りによく行きますが、僕の行動では、釣りがいちばんワイルドかな(笑)。ボートに乗って沖に出ます。いま住んでいるジャクソンビル(フロリダ)は、季節によっていろんな魚が釣れて楽しいですよ。

試合会場の駐車場に引っ張ってきたのは、なんと自前のコーヒーメーカー。「ホテルのコーヒーが気に入らないことが多いので、いつも持ち歩いているんだ」とウインク。自分の好きな淹れ方でコーヒーを楽しむのが、趣味人キャメロン・スミスの試合中のリラックス法だという

週刊ゴルフダイジェスト2022年8月9日号より