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【わかったなんて言えません】Vol.86 中西直人 #2「適当に打っても入るんだ」イップスから解放されたきっかけとは?

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは前回に続き、大阪府出身の中西直人。今回は2人がやっているYouTubeの話から、中西を長年悩ませてきたという「イップス」の話題へ。

TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Tadashi Anezaki

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/中西直人

1988年生まれ、大阪府出身。日本大学卒業後、2010年プロ入り。19年に初シードをつかんだ。「SANRISE」は自ら立ち上げたオリジナルブランド

前回のお話はこちら

時松 中西さんもユーチューブをやられていますよね。

中西 『プロゴルファー中西直人【あゆみ】チャンネル』。もう2年くらいやってる。でも『時松隆光のげんちゃんねる』に全然呼んでくれないんもんなあ。

時松 いやいや、今度お願いします(笑)。ユーチューブって、定期的に上げることが大事って言われますけど、どうですか。

中西 でも僕も源ちゃんもユーチューブやっているけどユーチューバーではないよね。

時松 え、どういうことですか。

中西 ユーチューバーと名乗っている人たちは、2日とか3日に1回は定期的に動画を上げている。僕も源ちゃんも、そのペースで動画を上げていない。

時松 無理ですね。


中西 じゃあ、何でユーチューブをやっているかといえば、源ちゃんも僕も目的みたいなものは一緒だと思うんだよ。まず、ユーチューブを通して「ゴルフ界を盛り上げたい」ということ。そしてそのなかで、自分自身が楽しみながらやっている。だって楽しくないと盛り上がらないし、見てもらえないから。現役プロゴルファーのなかで、ユーチューバーとして認められるのは(堀川)未来夢です。未来夢はユーチューブを始めるときに、「僕はユーチューバーになります」って言った。発端からして違うから、めちゃくちゃ頑張っているし、いろんな人とコラボもしてるし、内容的な輝きが全然違うよね。

時松 未来夢さんのユーチューブ、すごいすよね。

中西 僕は大好きですね、彼のユーチューブ。

時松 中西さんは、どういった感じの内容にしていこうと思っているんですか。

中西 僕は、「プロゴルフツアーの現場に行こう」とか、「ゴルフ中継のテレビを見よう」とか、そこに対してアタックしていきたいと思っている。源ちゃんは?

時松 ゴルフのユーチューブはレッスン的なものが人気あると思うんですけど、僕自身はレッスンがあまり上手くないので、まずはゴルフに興味を持ってもらうような動画にしたいというのがあります。

中西 「バンカーのならし方」とか。アレ最高だよね。今、コロナ禍で新規にゴルフを始める人が増えているので、初心者へのマナー的なことをレクチャーするという、ああいう内容はすごくよいと思った。

時松 ありがとうございます。

中西 ところで、僕のイップスの話、したかな。

時松 何イップスですか?

中西 人間イップス。

時松 人と会うのが怖いとか、中西さんは絶対ないでしょ。

中西 冗談(笑)。そもそもはドライバーから始まっているんだけど、僕のイップスはクラブが上がらない系なのよ。パターなんか一番ひどくて、もう固まって地面にパターヘッドがくっついちゃうんだよね。

時松 全番手一緒にイップスに襲われるんですか。

中西 いや、さすがに全部一緒に来るとゴルフができなくなるから、それはないかな(笑)。順番に来る。ドライバーがマシになったら、アプローチに来て、パターに出る。それでまたドライバーに戻るという感じ。でもパターが一番しんどかったね。

時松 何が原因なんですか。

中西 パターなんかは、入れようという気持ちが強すぎて、ヘッドが引けなくなった。テークバックが動きさえすればOKだったので、とりあえずヘッドが動かせそうなネオマレット型のパターを選んでみたわけ。でも、それは逆効果だった。

時松 どうしてですか。

中西 ソールが広いぶん、地面につく面積が多いから、余計に動かなくなった。それで、次にピン型に替えたら、めっちゃパターが動くようになって、イップスを脱出することができた。

時松 なぜ、ピン型がよかったんですか。

中西 難しいヘッドだから、逆に適当になれるという心理が働いたんだと思うね。

時松
 開き直りみたいな感じですかね。

中西 そうだと思うよ。「適当に打っても入るんだ」ということが体験として残り、イップスは解消できました。

時松 どれくらいの期間、悩まれたんですか?

中西 2010年にプロ転向して、2018年のQTで17位になって、翌年にツアーの出場機会を得るまではずっと悩んでいた。その年のQTの前までは、悔しさを通り越して悲しくて。もうゴルフをやめようと思って、うちの奥さんに言ったら、「それもイイよ。でもあんたからゴルフ取ったら何が残るの」と言われて。そうか、ゴルフがなくなっても可愛い子どもたちがご飯を食べていけるようにしなければと思って、いろんなことに手を出してやってみた結果、ゴルフに対するストレスが一切なくなってQTを通ったんだよ。

時松 素晴らしい話です。

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より