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【日本女子アマ】「指が短いので10フィンガーのほうが握りやすいんです」19歳・寺岡沙弥香が6打差圧勝

<日本女子アマチュアゴルフ選手権/岐阜関CC東C(岐阜)/6638Y・パー72/6月14日〜17日>
PHOTO/Hroyuki Okazawa

岐阜関CC東コースで行われた第63回日本女子アマチュアゴルフ選手権は、大阪学院大学高卒の寺岡沙弥香(さやか・19)が初日から首位を守り、2位に6打差をつけて完全優勝を飾った。

「アドレナリンが出て飛びすぎていたので、ティーショットは3Wを使うことが多かった。頭の使い方がよくなっているのが自分でもわかる。そこが昨年に比べたらだいぶ上がっています。関西女子アマもですがマネジメント力で獲ったタイトルです」(寺岡)

1歳上の仲村果乃(かの)と首位タイで迎えた最終日、「朝からパットの調子がよくなくて自信がなかった」という寺岡は、2番を3パットでボギーにしたものの、7番でバーディを奪い気持ちが楽になり、そこからは独走態勢。最終日は厳しい位置にピンが切られていたが、前週にサントリーレディスに出場していたこともあり、「もっと難しいピン位置を経験していたので、今日は難しかったけど焦らずできました。(セッティングを担当した)宮里(藍)さんに感謝ですね(笑)」。

小3からコーチを務める川西直樹プロによると、「サントリーでは僕がバッグを担いでいましたが、宮里プロは憧れの人でも、ピンポジが厳しくて『嫌いになるかも』と冗談を言っていたくらい(笑)。でも、サントリーの経験が生きたのは事実。予選を通ったので、課題のアプローチの引き出しを増やすべく、転がしたりフェースを開いて打ったり試合で試したんです。これが寄って、自信がついたのも大きい。彼女は飛ぶし曲がらない。ショット力は高いのですが、グリーンを外すとボギーになっていた。でも最近、リカバリー力が上がったこと、マネジメント力がついてきたことでスコアが出せるようになり、今回の4日間アンダーパーにつながりました」

以前から変わらず、飛距離を伸ばすため、「ご飯は大盛でおかわりをする」と、試合後楽しく告白してくれた寺岡。今回の試合中も先輩の男子プロ、平田憲聖(けんせい)から、「パワーを付けたほうがいいからとにかく肉を食べろ」といわれ、しっかり実践。「憲聖にもいろいろアドバイスをもらって実行できる。彼は肉にもタレにもうるさいので(笑)。これも彼女の素直さです。いいショットには喜び、悪いショットでは悔しがる。すんなり諦めないのもいいところです」(川西)

高校卒業後、プロテストを2回受験するも二次予選で落ちていた。

「同期や1つ下の高校の後輩(川崎春花)がプロになったことで少し焦っていましたが、少しは近づけたかな。この優勝で最終のプロテストから受けられる。二次試験を受けなくていいので、少しホッとしてます(笑)」(仲村)

「せっかくチャンスをもらえたので、この流れを生かすのが恩返し。プロテストはサッとクリアしてほしいですね」(川西)

次戦の予定は、来月行われるゴルフ5レディスの予選会。心身もゴルフ力もまだまだ伸び盛り。肉モリパワーで突っ走る!

1位と3位はなんと「10フィンガー」

最終日最終組で回った3人のなかで、優勝した寺岡と3位に入った幸田彩里の2人には意外な共通点が。グリップが“10フィンガー”なのだ!

かつて小誌連載「キミこそ王子だ」で取材したとき、中2から10フィンガーに変えた理由を「指が短いので10フィンガーのほうが握りやすく振りやすいです」と語っていた寺岡。3位に入った幸田は、小4でゴルフを始めたときから10フィンガーグリップだという。

中2のとき、あるアメリカのコーチから10フィンガーが流行っていることを聞き試したところ「1日打ったら慣れました」。自分で考え選んだ結果のグリップだ

川西コーチによると、「自分で考え自分で決める。本人が一番気持ちよく振れるグリップです。手が大きいわけではないので合っているんでしょう。フィットしないと不安で力が入ったりする。曲がらないショットにつながっていると思います。彼女はフェードヒッターで、キャリーで250〜260ヤード飛ぶ。サントリーレディスでも原英莉花プロ、植竹希望プロと同組でしたが、負けていませんでした。これも本人の自信になったはずです」

10フィンガーといえば、プロゴルファーでも勝みなみや、「桜美ゴルフ」出身の時松隆光、後藤未有などが採用していることで知られるが、我々一般ゴルファーも、常識を捨てて試してみたら、案外しっくりくるという人も少なくないのかも?

2位
仲村果乃(20)

奈良育英高出身。高1から吉川なよ子に師事、メキメキ頭角をあらわした。要因は毎日300回の本気素振りなどの“鬼トレ”!「最終日最終組という経験がなかったから、伸ばせず悔しかった。緊張への対応が課題です」。この経験は、必ず糧になる

3位タイ
幸田彩里(あやり)(20)

早稲田カラー、えんじ色のウェアに身を包み戦った幸田。ゴルフを始めたきっかけはアメリカ人の伯父から勧められたこと。早大スポーツ科学部に進学した理由は「違うスポーツのアスリートと交流ができたり、刺激的な生活ができると思って」。実家は整骨院。マイペースに実力をつけている

3位タイ
長尾小百合(17)

熊本出身。最終日に67とスコアを伸ばしジャンプアップ。初出場で「わくわくする気持ちと緊張感が半々。でも焦らず自分のプレーに徹することができて収穫でした」。目標とする人はアリヤ・ジュタヌガン。平均飛距離250~260Yの飛ばし屋の今後に注目!

<日本女子アマチュアゴルフ選手権・最終成績>

優勝寺岡沙弥香-12
2位仲村果乃-6
3位T長尾小百合-5
3位T幸田彩里-5
5位新地真美夏-4
6位徳永歩-3

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より